- 「働くこと」は、単に生活のための収入を得る手段としてだけではなく、個々人の社会化や能力形成を助けるとともに、地域社会や他者とのつながりを生み、自分が社会の一員として、社会に参加・参画していることを実感させてくれる重要な役割を持っています。
- そのため、働く意思のあるすべての国民に労働市場への参加を確保すること、そして労働市場への参加を通じて安心して暮らしていくことのできる正しい雇用環境を確保することこそが、持続可能な経済成長と支え合いの社会保障制度を維持するためにも、政治の最も重要な役割であり、責任であることがきちんと認識され、これからの社会経済政策の中心に据えられるべきです。
- とりわけ、少子化と超高齢化という二つの大きな課題に直面する中で、若い世代の男女が共に安心して結婚し、子どもを産み育て、仕事と家庭の両立を図ることのできる環境と、働く意欲と希望のある高齢者が就労を継続できる環境を確保していく必要があります。
- 人は誰もが、それぞれ異なる能力や関心、魅力と可能性を持って生まれてきています。だからこそ、個々人が自分の持てるものを活かし、それを伸ばし、社会にも貢献し、それによって未来に希望を持って暮らしていくことのできる機会が得られなければなりません。
- また、社会には、一時的にまたは恒常的に、働くこと、社会に貢献すること、また自分の力で生活することが困難になる人もいます。そのような人たちにも、社会全体で「安心と安全」を提供し、社会の一員として尊厳ある生活が保障されるべきです。
- そして、全ての国民が健康で文化的、かつ尊厳ある暮らしを得るためには、社会として、そして国として、積極的な意味での「平和」が守られていかなければなりません。二度と戦争を起こしてはならないことはもとより、核兵器や大量破壊兵器の廃絶、戦争の原因となり得る貧困や飢餓、差別や格差の解消、国内における米軍専用基地の縮小、そして近隣国を中心に国際的な相互理解や信頼の醸成に努めていくべきです。
- 自分がどのような生き方をしたいか、どのような働き方をしたいか、また、何に生き甲斐ややり甲斐を感じるのかは、個々人によって違い、それぞれのライフステージ(人生の段階)や家族の事情等によっても異なります。
- 誰もが、自分のライフスタイルやニーズに応じて生き方や働き方を選択でき、引き続き安心して暮らしていける環境が労働市場と社会保障制度、そして地域社会における公共サービスとの有機的(ダイナミック)な連携によって総合的に保障されるべきです。またそのためにも、働き方に中立的な社会制度が確立される必要があります。
- 社会には、さまざまな段階や担い手による「つながり」や「ささえ」、「守り」が提供されていますが、その中心にあるべきは、自分に最も身近な存在である「家族(ファミリー)」と「地域社会(コミュニティー)」です。
- 誰もが「ファミリー」や「コミュニティー」の一員として相互扶助に参加し、お互いに「つながり」や「ささえ」を提供し合える環境を整えていくためにも、総労働時間の抑制や休日の確保、職住接近、地方分散、24時間365日営業の見直しなど、社会全体としてのワーク・ライフ・バランスのあり方を再検討し、新しい社会のあり方を確立すべきです。