アフリカの歌姫、イボンヌ・チャカ・チャカさん、「国際連帯税親善大使」に!

昨年5月、横浜で開催されたTICAD V(アフリカ開発会議)の際に、国際連帯税の導入実現に向けた国際シンポジウムを国際連帯税議連や国際連帯税フォーラムの連携で開催したのですが、その時に初めてお会いした南アフリカ出身の世界的歌手、イボンヌ・チャカ・チャカさんに、今日、約1年ぶりに再会することができました。

今日の会合は、「国際連帯税の創設を求める議員連盟」の衛藤征士郎会長と、事務局長を務める私、そして「国際連帯税フォーラム」の代表の皆さんたちが共同で、チャカ・チャカさんに「国際連帯税推進の親善大使」に就任していただくよう要請するために企画したものです。私たちからそのことをお願いすると、チャカ・チャカさんは「喜んでお受けする」と即答で快諾してくれました。良かった〜(^^)v これで、これから本格的な検討がはじまる平成27年度税制改正議論に向けて、当議連としても強力な援軍を得ることができました。

イボンヌ・チャカチャカさんは、アパルトヘイト体制下の南アフリカで黒人初の女性歌手として活躍した人です。亡くなったネルソン・マンデラ元南アフリカ大統領が、獄中にあった時に彼女の歌が心の支えだったと言って「プリンセス・オブ・アフリカ」と命名したとか。今、国連MDGsアフリカ特別大使やユニセフ・マラリア親善大使等を務め、貧困と感染症の問題で積極的な活動を展開していて、今回も日本リザルツの招待で、開発途上国の予防接種率の向上で子どもたちの命と人々の健康を守ることを目的とする「GAVIアライアンス」への支援要請のため来日されていたのでした。

ちなみに、今日はなんと、艶やかな着物で国会に登場。実にお似合いでした。来日はもう4回目とのことで、「私はもう大の日本ファン」と言ってくれてました。今回の訪日では、昨年に続いて釜石市に訪問して被災地の復興の状況を視察。この後は、熊本へ行って、「くまもん」とのコラボについて相談するんだそうです。今度訪日する時には、国会で国際連帯税のイベントをやることを約束しましたので、その時は皆さんもぜひチャカ・チャカさんに会いに来て下さいね!

「教育におけるICT利活用促進をめざす超党派国会議員政策勉強会」開催!

6月13日(金)午後、私が呼びかけ人の1人として運営している「教育のICT利活用促進をめざす超党派国会議員政策勉強会」が今年第1回目の勉強会を開催しました。

 

会合には、議員メンバーの他、5月に立ち上げた「有識者アドバイザー」グループの皆さんにも多数、ご参加をいただきました。いや、この有識者アドバイザーグループの顔ぶれが凄いんです。ご覧下さい!

  • 赤堀侃司  一般社団法人日本教育工学振興会会長
  • 新井健一  ベネッセコーポレーション ベネッセ教育総合研究所理事長
  • 石戸奈々子 デジタルえほん代表取締役社長、NPO法人CANVAS理事長
  • 梅嶋真樹  日本論理コミュニケーション技術振興センター代表
  • 角谷浩一  政治ジャーナリスト / 株式会社ドワンゴ顧問
  • 陰山英男  立命館大学教育開発推進機構教授
  • 國領二郎  慶應義塾大学常任理事
  • 中村伊知哉 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 / デジタル教科書教材協議会(DiTT)副会長
  • 西田文比古 NTTラーニングシステム株式会社教育ICT推進部長
  • 堀田龍也  東北大学大学院情報科学研究科教授
  • 森下耕治  光村図書出版株式会社 企画開発本部 開発部長
  • 山田肇   東洋大学大学院経済学研究科長・経済学部教授
  • 龍治玲奈  日本マイクロソフト株式会社法務政策企画統括本部政策企画本部渉外・社会貢献課長

【顧 問】

  • 小宮山宏  三菱総合研究所理事長
  • 夏野剛   慶應義塾大学政策・メディア研究科特別招聘教授
  • 西川太一郎 荒川区長
  • 古川康   佐賀県知事

スゴいでしょ? 今後、われわれ議員勉強会の活動に大所高所からアドバイスをいただきながら、内外への発信を協力してやっていきたいと思っています。

さて、この日の勉強会では、文部科学省・総務省の担当部局より、今年度の教育のICT関連事業の内容と、それを受けて来年度以降、どのような項目について焦点を当てて具体案を検討していくかについてヒアリングを受け、出席した有識者の皆さんと意見交換を行いました。今年度は、ICT教育分野の予算が、昨年秋に行われた行政事業レビューの結果、厳しい予算査定を受けて減額になってしまったのですが、その反省も踏まえ、今後、何のために教育のICT化が必要なのか、もっと理論武装して世論喚起をしていくべきとのご意見が多くありました。

そして、過疎化や少子化が進行し、地域で学校の統廃合などが進む中で、どの地域の子どもたちも質の高い教育を受けられることを確保するためにも、ICTは決定的な解決力を持っていること、また、グローバル化が進む世界の中で、子どもたちに新たな次代を生き抜く力を養ってもらうためにも有効な解決策となることなど、ご提言を頂きました。

今後、この勉強会としても、優先課題を整理した上で、具体的なアクションにつなげていけるよう、精力的に取り組んでいきたいと思います。

「平和と安定の安全保障を考える連絡会」の活動について

連日、集団的自衛権の行使容認問題に関する報道がメディアで伝えられています。ぜひ皆さんには、安倍総理が宣伝のために使っている「ありそうもない架空の事例」や「集団的自衛権とは関係のない事例」などに惑わされず、そして「限定容認」などというまやかしに誤魔化されず、問題の本質を見極めて、そして日本の安全保障のあるべき姿を考える力をもっていただければと思います。

集団的自衛権の行使は、日本国憲法の平和主義、そして憲法第9条の下で「容認されない」こと、そして行使をするのであれば「憲法9条を改正するしかない」ことは、すでに長年の憲法議論の中で確立している我が国の法規範です。

つまり、今、安倍政権がやろうとしている「憲法9条の解釈変更による集団的自衛権の行使容認」は、ときの権力者が独断でこれまでの解釈を放棄し、恣意的に新たな解釈を行うことによって、憲法9条を実質的に有名無実化しようとする蛮行なのです。

これは、集団的自衛権を行使を容認すべきかすべきでないかという政策論とは全く別の次元の、法治国家日本、そして国民主権の下での立憲主義を守れるかどうかという法律論の問題として、主権者たる国民の皆さんが決して許してはならない問題です。

私たち民主党も、すでに3月4日に党としての見解を決定し、解釈の変更によって集団的自衛権の行使一般を容認することは決して許さないことを明確に示しています。このことを党として前面に打ち出し、安倍政権が進めようとしている暴挙に断固、反対し、対峙していくことをめざして、私たちは民主党の有志議員で「平和と安定の安全保障を考える連絡会」を立ち上げて、今、党内外に働きかけを行う運動を展開しています。

当面は、当所属の国会議員の半数以上に賛同してもらうことが目標。その上で、他党や地方議会の皆さんにも働きかけを行っていきたいと思っています。

ぜひ皆さんも、この問題を自分のこととして捉え、考えて、そしてもし、「こんな暴挙、絶対に許しちゃいけない!」という思いを共有していただいたなら、皆さんの組織や、職場や、家族や、地域や、活動の中で声を挙げて下さい!

明日の参議院文教科学委員会で質疑に立ちます

すでに事務所便りでお伝えした通り、明日、6月10日(火曜日)の参議院文教科学委員会で質問に立ちます。議題は、この間、審議を続けてきている「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正案(以下、地教行法改正案)」です。

すでに、5月23日(金曜日)の参議院本会議での代表質問、5月27日(火曜日)の文教科学委員会での質疑と、2度に渡って本法案に関する質疑を行ってきました。また、この間、中央公聴会、地方公聴会(愛知、静岡)と現場教育関係者、有識者の皆さんから本法案についてのご意見を伺う機会をいただきました。


(6月5日に名古屋と静岡で行われた地方公聴会の様子)

これらの審議を通じて、あらためて今回の法案の問題点や、教育委員会制度改革の課題が明らかになってきたと思います。要は、今回の政府案には、評価出来る部分も含まれている一方で、教育現場での課題に本当に対応できる内容になっているかどうかというと、大いに疑問を持たざるを得ないということです。そして、運用のされかた如何では、むしろ、地方教育行政の現場に無用の混乱を生じさせかねないという懸念が拭い切れません。

明日は、その辺の課題を中心に政府の考えを質しながら、できるだけいい運用がなされるような形で問題提起をしていきたいと思います。応援宜しくお願いします!

残業代ゼロ制度の問題点〜続き

6月1日付の当ブログ記事「どうしても『残業代ゼロ』を実現したいらしいが・・・」で、現在、政府の「産業競争力会議」で検討が進められている「残業代ゼロ制度」の問題点を指摘しました。その後も、民主党の厚生労働部門会議等で議論を進めているのですが、その中で政府が提出した資料や、われわれからの質問に対する回答に数々の疑問が出てきていますので、以下、続報としてお伝えしておきます。

安倍総理の記者会見

5月28日の第4回産業競争力会議の後、安倍総理は「新たな労働時間制度」に関して、以下のように述べたそうです:

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働き手の数に制約がある中で、日本人の意欲と能力を最大限に引き出し、生産性の高い働き方ができるかどうかに、成長戦略の成否がかかっていると思います。あわせて、少子高齢化が進む中、子育てや介護などと仕事とをどう両立するかは、大きな課題であり、社会の発想を変えねばならないと思います。そのためには、働き手が十分才能を発揮し、各人の事情に応じて柔軟に働き方を選べるように、働き方の選択肢を増やすことが重要であります。

 このため、成果で評価される自由な働き方にふさわしい、労働時間制度の新たな選択肢を示す必要があります。新たな選択肢については、「長時間労働を強いられる」あるいは「残業代がなくなって賃金が下がる」といった誤解もありますが、そのようなことは、絶対にあってはならないと考えます。まずは「働き過ぎ」防止のために法令遵守の取組強化を具体化することが、改革の前提となります。その上で、新たな選択肢は、

 1.希望しない人には、適用しない。
2.職務の範囲が明確で高い職業能力を持つ人材に、対象を絞り込む。
3.働き方の選択によって賃金が減ることの無いように適正な処遇を確保する。

 この3点の明確な前提の下に、検討していただきたいと思います。こうした限られた人以外の、時間で評価することがふさわしい、一般の勤労者の方々には、引き続き、現行の労働時間制度でしっかり頑張ってもらいたいと考えます。
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ここで安倍総理は、「長時間労働を強いられる」「残業代がなくなって賃金が下がる」ことがあってはならないと明言していますが、さて、一体、どういう意味での発言でしょうか???

働き過ぎ防止のための法令遵守の取り組み強化?

ここで言う法令遵守の取り組み強化というのは、労働基準監督署の体制強化のことを言っているようです。このこと自体は、私が初当選以降、ずっと国会質問で取り上げてきたことですので、大歓迎ですし、今回のことに関係なく今すぐ実行に移すべきです。

ただ、前回の記事でも指摘しましたが、本来、「働き過ぎ防止」を言うのであれば、まず現在の労働時間規制では事実上、青天井になっている労働時間について、(1)残業時間を含めた年間(及び週、月単位でも)総実労働時間の上限規制の導入、(2)勤務間インターバル(休息時間)規制の導入、(3)1週間に1日の絶対週休の導入、をセットで導入する必要があります。いくら取締体制を強化しようが、36協定の特別条項を結んで合法的に過労死レベル以上の残業時間を設定できる状態を温存しては、違反にならないのだから効果はありません。

まず何より、この労働時間の上限規制について明確な方向性が示されなければ、「改革の前提」条件は整わないのです。

さらに、もし今回の制度改革が、対象となる労働者を労働基準法の労働時間規制の適用除外にする(=基準法違反をしても罪に問われない)という措置だとすると、これまた取締体制の強化では何の対策にもなりません。だって適用が除外になっているわけですから、違反しても取り締まれないわけです(苦笑)

具体的な制度設計はまだ分かりませんが、もし労働基準法の労働時間規制を適用除外にするという話であれば、労働基準監督制度の枠外に置かれてしまう可能性がある、ということは留意しておく必要があると思います。

希望しない人には適用しない?

これも前回触れましたが、「新たな制度は労働者本人の選択制で、希望しない人は現行制度のママだから大丈夫」と言われると、何となく「それならいいか」と思ってしまうかも知れません。しかし、この新たな制度を選択するかしないかで、処遇や労働時間に全く何も差がつかないのであれば、そもそもこの制度を導入する意味がないわけで、経営側の並々ならぬ意欲を感じ取れば、当然に選択の有無で処遇格差を付けてくるはずです。

加えて、対象となる労働者は、

 

 

 

超党派「電子書籍議連」総会開催!

今日(6月4日)の朝、8時から、私が事務局長を務めている「電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟」の総会を開催し、会員議員や多くの関係者の皆さんにご出席をいただきました。

 

すでにこのブログでもご報告した通り、議連として昨年来、取り組んできた電子書籍に対応した著作権法改正案が4月に衆参両院で全会派の賛成によって成立しました。今日の議連総会は、改正案成立後、最初の会合ということで、まずは出席者全員でこれまでの労苦を労いあった後、改正法とともに採択された11項目に及ぶ附帯決議の今後の取り組みについて、所管する文化庁、経済産業省、国会図書館から具体的計画について説明を受けました。

また、今回の改正法の実際の運用は、著作者と出版者の当事者間の契約によるところが大きいので、ご出席いただいた出版者団体、著作者団体、双方の代表者からも取り組みの状況や、今後の運用に向けた決意など、意見提起を頂きました。

意見交換の中では、この改正著作権法は、新しい時代において日本の出版文化を一層、豊かなものにしていくための第一歩であって、議連としても今後、改正法の運用をしっかりモニターしつつ、必要に応じてさらなる措置を検討していくことや、出版権の登録制度や集中管理制度、そして将来的な「ナショナルアーカイブ構想」の検討についても、関係者の皆さんと議論を続けながら取り組みを進めて行くべきこと、などの発言があり、これらの方針を全会一致で確認しました。

今日の総会には、マスコミ関係者も多数傍聴に来ていて、この問題に対する関心の高さを実感。議連としても、今後、さらなる展開を図っていきたいと思います。

どうしても「残業代ゼロ」を実現したいらしいが・・・

いや、まあしつこいというか、執念深いというか・・・。

昨年、政府の産業競争力会議が雇用規制緩和の議論を始めたときに、「裁量労働制の適用拡大」がメニューに載せられていました。「第1次安倍政権の時に、ホワイトカラーエグゼンプションの導入に失敗したから、今回はさすがに懲りて、裁量労働制の拡大という戦術に転換したのだろうか?」と思っていたのです。しかも、去年はその後、解雇規制の緩和や国家戦略特区の議論に忙しくて、裁量労働制拡大の話も具体化して来なかったので、少し安心していたのですが・・・。

しかし・・・やっぱり諦めていなかった!!!

今年4月、再び、「労働時間改革」が産業競争力会議の議論の俎上に上ってきたのです。しかも今回は、ホワイトカラーエグゼンプションのスペシャル版。なんと、一定の条件下(労使合意と本人希望・同意)で、一般社員までもが対象になり得るような案だったのです。これじゃ「過労死促進法案だっ!」と批判すると、5月末の会合では一部修正した案が示されたのですが、これがまた酷い内容・・・。呆れてモノが言えないとはこのことですが、来年の通常国会に法案提出予定なんて言っているので、今から声を上げて、断固、阻止していかなくてはいけません。

現行の労働時間規制

まず、ごく簡単に、現行の労働時間規制のおさらいをしておきましょう。

労働基準法では、1日8時間、週40時間という法定労働時間を定めています。しかし、労使の合意があれば、一定の条件下で、法定労働時間以上の残業や休日出勤を行うことができます。そして、法定労働時間以上の時間外労働部分については、割増賃金が支払われなければなりません。

言ってみれば、労使合意をして、残業代さえ支払えば、いくらでも残業をさせることが出来るというのが現行制度なのです(=実は、これが労働時間問題の本質なのです)。

ところで、この労働時間規制、会社の役員は対象外ですし、部長や課長など、管理監督者についても適用除外になっているのはご承知の通り。さらに、「みなし労働時間制」というのがあって、その中で「専門業務型」と「企画業務型」の二つの『裁量労働制』が規定されています。一定の条件下ではありますが、その対象になれば、管理監督者以外の社員でも労働時間規制の適用外(実際の残業時間ではなく、みなしの残業時間で賃金計算)になります。ただし、これはあくまで労働時間規制の枠内で、労使の合意によって一定時間を残業したとみなすもの。労使の合意や労基署への届出が必要ですし、法定時間以上の残業時間相当分や、深夜や休日の労働時間については割増賃金の対象になるというのがポイントです。

産業競争力会議で示された案

5月末の産業競争力会議で示された修正案、提案したのは産業競争力会議の「雇用・人材分科会」で主査を務める長谷川閑史氏(武田薬品工業社長、経済同友会代表幹事)ですが、実際にこの案を作ったのは経済産業省の官僚という話も聞こえています。産業界の意向を最大限に反映した制度にするために頑張ってるのでしょうかね(苦笑)

「一般社員まで残業代ゼロにするのか!?」と批判された4月の案を一部修正して、「全ての労働者が対象ではなく、限定された労働者に導入する」ことを強調していますが、まさに突っ込みどころ満載です。まあ、本来、自分の裁量で成果や労働時間など決められない一般労働者に、労働時間規制の適用を除外にして「完全成果主義」を導入し、残業代なしで(成果を達成するまで)いくらでも働かせられるようにしようというのですから、まっとうな議論は成り立たないことは当然ですが・・・(大苦笑)

以下、いくつかポイントを示しておきます。

(1)対象が曖昧!

 まず、制度案は「限定導入」であることを強調していますが、実際は、具体的に誰が対象になるのかは明確にされていません。「職務経験が浅い、定型・補助・現業的業務など自己裁量が低い業務に従事する社員は対象外」とする一方で、「(a)中核的、専門的部門等の業務、(b)一定の専門能力・実績がある人材、(c)将来の幹部候補生や中核人材等が対象」としていて、結局は、経営側が後者に該当すると判断されれば幅広く対象となる危険性があります。

 ちなみに、(c)の将来の幹部候補生や中核人材等なんていうのは、企業によっては相当数の若手一般社員も対象になり得るのではないでしょうかね? だって社長さんたち、新入社員に「将来はうちの会社を背負って立つ人間になってくれ」って言うでしょ?(苦笑)

(2)本人の希望・選択なんてまやかし!

 制度の適用は「労働者本人の希望・選択」に基づくことになっています。これ、もっともらしく聞こえますが、当然、経営側は、半ば強制的に同意を求めてくるでしょう。さらには、選択の有無で、その後の昇進、昇格、昇給に差を付けてくることが容易に想定されます。

 だって、そもそも、対象となるのは「能力のある人材」とか「幹部候補」とかなんですよね? であれば、むしろ処遇に差が付くのが当然とも考えられます。そうなると、それを拒否できる若手社員がどれだけいるでしょうか? 断るというこは、「自分は無能で、一生ヒラでいい」と宣言するようなものじゃないですか? 実際、いったん断ったらその後ずっと干された、なんてことが起こっちゃうんだと思います。

(3)ブラックユニオンを奨励!?

 制度案によれば、導入は原則、過半数組合をもつ企業に限定するとしています。何だかとってもうさん臭い部分です(苦笑) これも一見、いいように見えますが、もし本当にそういう制度になった場合、どういうことが起こるでしょうか? 例えば、どうしても導入したい経営者が、いわゆる御用組合を結成して、強制的に労使合意をさせてしまうことも考えられます。先日ある会合で、連合の方が「ブラックユニオン奨励法案だ」と非難されていましたが、その危険性もあるのではないでしょうか。あっ、これ、昔で言う「イエローユニオン」ですかね。

 また、結局は、過半数の従業員代表との合意でもOKになってしまうのではないかと思いますが、そうなれば全く実効性ある歯止めにならないことは、残念ながら現行法の枠内でも証明されてしまっていますね。

(4)効率的に短時間で働いて報酬確保!なんて経営者がやる気になれば今でも可能!

 恐らく何が何でも「労働者にとって素晴らしい案だ」ということを示したいのでしょうが、制度案は、導入すれば「職務・成果に応じた適正な報酬確保」とか、「効率的に短時間で働いて、報酬を確保できる」とか、そのメリットを一生懸命に強調しています。

 しかし、 ここには大きな矛盾があります。大体、明確な成果とその対価、そしてそれに通常必要な労働量をどう適正に計量するのでしょうか? それが可能な一般労働者なんて、一体、どれだけいるのでしょうか? さらに言えば、それが可能だとすれば、それをなぜ、現行制度の枠内(裁量労働制やフレックスタイム制)でやろうとしないのでしょうか?

 大体、効率的に短時間で働くなんていうことは、経営者がその気になれば、現行の労働時間規制の枠内でいくらでも労使間で決めて実行出来る話です。先ほど確認したように、労働基準法というのは労働時間の上限に一定の歯止めをかけ、割増賃金の支払などを定めていますが、下限を定めているわけではないのです。規制の枠内で、労使が協議して所定内労働時間を定め、処遇を定めるわけですから、所定内労働時間以内で成果を達成したら、その分、残りの勤務時間は遊んでいていい、なんてことはやろうと思えばすぐできます。そうしないところが、まさに虚構なわけです。

(5)長時間・過重労働の防止・・・それが一番重要だ!!

 極めつけは、制度案が「健康確保のため、『労働時間上限』『年休取得下限』などの量的制限の導入」を謳っている点です。「なんだ、分かっているじゃないか!」と感心しちゃいけません。だって、謳っているだけで、何ら具体的な提案はしていませんし、一番最後にいかにもとってつけたように書かれているんです。本当はこれが一番、今、やらなきゃいけないことなのに!!!

 繰り返しますが、現行法の下では、労使合意さえ結べば、労働時間はほぼ青天井です。ちゃんとした労働組合がない職場では、過半数労働者の合意なんてほとんど形骸化してますから、中には経営者が勝手にとんでもない残業時間を労基署に登録している職場もあるんじゃないかと思います。だから、過重労働がなくならないし、過労死や精神疾患が蔓延しているし、仕事と家庭との両立が難しいし、女性が働き続けるのが難しいんです。

 つまり、今必要なのは、まず、年間総実労働時間に法的な上限を設けること。それ以上は、残業も休日も含めて決して働かせてはいけないということを決めることです。その上で、一日の勤務の終わりと次の日の勤務開始との間に、一定時間以上の休息時間を設ける「勤務間インターバル規制」を導入すること。さらに、絶対週休日を確保すること。現状は、変形休日制の下で月に4日、休日を与えればいいことになっていますが、それを7日に1日は絶対に休日を設けることをルールとして決めるんです。

 労働時間規制というのは、働く者の命と、健康と、生活を守るためにあるべきものなんです。そしてそれは、本来、経営者だって管理監督者だって同じであるはず。全ての働く者のために、これ以上働いちゃいけないっていう規制は設けるべきなんです。

 そういう最低限のことをちゃんとやった上で、その枠内で、労働者の働き方や希望に応じた裁量的な働き方が検討されるのはやぶさかではありませんが、今、政府がやろうとしていることは、順番が違うというか、全く真逆の案。つまり、労働者のためにやろうとしているのではなく、企業の都合のためにやろうとしていることが見え見えなのです。

今後の展開

以上のポイントをまとめると、(1)今、やるべきは、労働時間規制を強化することで、それをやらないままに労働時間規制の適用除外を一般労働者に拡大したら大変なことになる、(2)限定導入などと言って、はなから全然限定になりそうもないし、一旦導入されれば、将来的に対象が拡大されるのは目に見えている、(3)結局は、残業代(そして労働コスト)を抑制したい(一部の?)企業経営者のために労働者を犠牲にしようとしているに過ぎない、ということになるでしょうか。

今後、6月にも公表される予定の成長戦略第二弾に、この「労働時間改革」なるものが書き込まれる予定とのこと。その方向性に基づいて、労働政策審議会で具体的な制度設定議論が行われ、来年の通常国会にも労働基準法改正案が提出される運びとなるのでしょう。最終的に国会での勝負になれば、与党がまた数の力で強引に成立を図ることも予想されます。まずは何と言っても、6月から年末までが最初の勝負になるでしょうから、ぜひ連携して取り組んでいきましょう。

それにしても、解雇規制の緩和、労働時間規制の緩和、派遣労働の緩和、有期雇用規制の緩和、外国人単純労働者の受け入れ規制の緩和などなど、次から次へとよくもまあ出してくるものです。これらが全部実現した時、一体、どんな労働環境になっているのでしょうか? その悪影響を最も強く受けるのは、これから社会に出る若者や女性など、弱い立場の労働者です。働く者の安心を守るためにも、断固、闘っていかないといけませんね!

民主党「多文化共生議連総会」で韓国の「外国人雇用許可制度」を学習

5月26日午後、私が事務局長を務めている民主党「外国人の受け入れと多文化共生社会のあり方を考える議員連盟(多文化共生議連)」の総会を開催しました。

今回の議題は、主に二つ。まず、諸外国がどのように外国人労働者を受け入れているのか、その受け入れ状況や制度、処遇のあり方や生活支援について、国立国会図書館に調査を依頼していたのですが、その中間的な結果が出来上がってきたので、担当者より説明を受けました。

続いて、中央大学兼任講師の宣元鍚(ソンウォンソク)氏より、韓国の非熟練外国人労働者受け入れ政策(労働許可制度)について解説いただきました。韓国では、日本が実施している技能実習制度に習い、外国人研修生の受け入れを実施していたものの、(1)非正規滞在者の増加、(2)不適切事例の多発(人権問題等)、(3)政策機能の低下等の問題が生じたため、早々と「雇用許可制度」という新たな制度を導入して、外国人単純労働者の受け入れを公式に実施することになったとのことです。

受け入れにあたっては、国内労働市場の補完性を担保するため(つまり、韓国人労働者の雇用を奪うことのないよう)に、「労働市場テスト」(企業が求人募集して、1週間以内に国内労働者から求職があるかどうかを確認してから外国人労働者受け入れの許可を決定)、「総量規制」(政府が毎年の外国人労働者受け入れ総数の上限を設定)、「雇用率」(産業別・企業規模により外国人労働者比率に制限を設定)等を決めています。また、労働者の権利を保護するために、差別禁止や労働法の適用を徹底し、定住化を防ぐために滞在期間を最長4年10ヶ月とする等の基本原則を適用して受け入れを行っているようです。

さらに、運用体制については、出入管理法で在留資格に「非専門就業」を設定。また、外国人労働者の就業・雇用管理をするための「外国人勤労者の雇用等に関する法律」を制定し、政府が主体的に需給調整する等、政府主導で需給スステムを確立するとともに、送り出し側の国の責任も明確にするように、送り出し国とMOUを締結して運用を行っているとのことでした。

当議連としては、引き続き、現行の外国人技能実習制度の問題点を洗い出しながら、韓国をはじめとする諸外国の制度事例を調査し、将来的な制度のあり方を検討していきます。

参議院本会議での代表質問(地教行法改正案)

事前にお知らせしていた通り、5月23日(金)に開催された参議院本会議で、民主党を代表し、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」に対する代表質問を行いました! 応援していただいた皆さん、ありがとうございました!

 

代表質問の全文を、下記に掲載しておきます。ぜひご一読を。実際に質問している様子を、参議院インターネット審議中継のページ(本会議、5月23日を選んで下さい)でご覧いただけますので、お時間ある方はぜひ動画でご覧下さい。気合いが入りまくっている様子がよく分かると思います(笑)

本会議に先だって行われた民主党・新緑風会議員総会でも、全議員の前で登壇の決意表明。「教育行政への国の関与を強めようとしている安倍政権に対し、地方教育行政のあるべき姿を追及するためにしっかり質問する!」と熱く決意を述べました。

今回は、約2年半振りの本会議登壇でしたが、重要広範議案に対する代表質問は始めてだったので、相当気合いを入れて準備もし、登壇してきました。まずまず、満足いく仕事が出来たと思います。本会議後に、多くの同僚議員の皆さんから「良かった!」と声を掛けていただいたのが嬉しかったですね!

 

 

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地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案に対する代表質問
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 民主党・新緑風会の石橋通宏です。

ただ今、議題となりました、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案」につきまして、会派を代表して質問いたします。

1.  戦前の教育制度への反省と、日本国憲法が国民に保障する教育権の内容について(安倍総理)

冒頭、安倍総理に、戦前の教育制度への反省と、戦後、日本国憲法が国民に保障してきた教育権の内容についてお聞きします。

第二次世界大戦以前の我が国の「国家教育法制」は、国が国民を統制するための手段として、中央集権的な教育課程行政を実行し、その教育を受けることが国民の義務とされたため、結果、戦争の惨禍に国民全体を引きずり込む一つの大きな要因となりました。

その大いなる反省を基に、戦後、日本国憲法では、憲法二十六条第一項に教育を受ける権利の保障を掲げ、その具現化を図る教育基本法において、(1)教育の機会均等の原則、(2)義務教育の無償化、(3)教育の政治からの中立性などを定め、子どもたち一人一人の学習権を確保してきました。

しかし現在、安倍政権が進めている一連の教育制度改革を見ますと、まるで、戦前の中央集権的な、国家統制型教育を取り戻したがっておられるように見えてなりません。「私が決めるんです」と言って憲法九条の解釈を覆し、立憲主義を破壊しようとしている安倍総理とは言え、まさか、教育権の解釈まで変えてしまおうとお考えなのでないと信じますが、そのことを確認するためにも、①戦後政府は、戦前の教育体制をどのように総括し、反省してきたのか、また、②現行憲法が保障する教育権の内容をどのように解釈し、その実現に努めてきたのか、安倍総理の認識をご説明下さい。

その上で、憲法が国民に保障した教育権を、全ての国民、とりわけ子どもたちに確保するため、これからも引き続き全力で努力していくことについて、安倍総理の決意をお示し願います。

以下、政府提出法案の具体的な中身についてお伺いします。

2.  現行の地方教育行政における責任体制のあり方と今回の改革の方向性について
(安倍総理)

まず、地方教育行政における責任体制のあり方をどのように改革するのか、という点についてお聞きします。

政府は、本法案の提案理由について、衆議院における審議でも繰り返し、「現状では国=文科省と、都道府県の教育委員会、市町村の教育委員会、そして学校現場との四重構造で、これらがもたれ合いによってどこに責任があるのか分からない」ため、「地方教育行政においては、最終的な責任は教育長にあるとするのが今回の改正案」であると説明しています。

しかし今回の改正案では、教育委員会制度を現行のまま執行権限とともに残しつつ、首長主宰による総合教育会議を新たに設置して、屋上屋を重ねた結果、地方教育行政に四重構造どころか五重構造を生み出そうとしているように見えます。

まず、政府案が、地方教育行政に五重構造を生み出して、かえって責任体制に混乱を引き起こし、意志決定や教育行政の遂行を停滞させるのではないかという懸念に対し、そうならない保証が今回の法案上、どこに、どうあるのか、これでなぜ、責任体制がより明確になると言えるのか、安倍総理にお聞きします。

 

3.  総合教育会議の創設と教育委員会との関係について(安倍総理)

その上で、総合教育会議の創設と、教育委員会との関係について、特に、教育の政治からの中立性をどう確保していくのかという観点から伺います。

安倍総理は、総合教育会議は決定機関ではなく、決定権者も決まっておらず、あくまで首長と教育委員会という執行機関同士が協議し、調整を図りつつ、民意を反映した教育行政を推進していくことを目的としていると説明しています。

しかし改正法案では、総合教育会議で議論できる課題に明確な制限はありません。であるとすれば、首長が、または首長と首長によって任命される教育長との連携によって、総合教育会議の議題を政治主導で決定し、本来、教育委員会に属すべき権限の範疇まで踏み込んだことを議論して、総合教育会議の場で教育の方向性と大枠を決めてしまうことも可能なのではないでしょうか?

そうなれば、後ほどお聞きする監査体制の脆弱性とも相まって、教育委員会を執行機関として残した意味がなくなり、教育の政治からの中立性も確保出来なくなるのではないでしょうか?

安倍総理、そうはならないと言うのであれば、ぜひその根拠を具体的に示しながらご説明下さい。

 

4.  大綱の位置づけ、内容と教育委員会の権限との関係について(下村大臣)

続いて、総合教育会議で決定されるべき大綱の位置づけと内容についてお伺いします。

政府は、大綱の決定権者は首長であると明確に述べつつも、これによって教育委員会の権限に属する事務の管理、執行権を首長に与えたものではないとも説明しています。しかしその一方で、あらゆる課題を議題に載せて協議することは否定されないし、かつ、その上で大綱に記されたことは実行に移されるのは当然とも言っています。この矛盾に満ちた説明をどう理解すればよいのでしょうか?

結局、首長がそう決めれば、大綱に教育委員会が同意しないことまで記載され、首長に任命されている教育長は、それを実行せざるを得なくなるのではないでしょうか? まして、先ほど指摘した通り、首長と教育長が協力すれば、大綱にあらゆることを書き込んで、教育委員会の権限と役割を制限してしまうことも可能であり、政治の暴走を止めることが出来なくなるのではないでしょうか?

下村大臣、首長が、大綱を利用して、本来、教育委員会の権限に属する事務の管理、執行権を侵したりしないことをいかに法令上担保されるおつもりか、明確な説明をお願いします。

 

5.  首長による教育長の任命と教育長の任期を3年としたことの矛盾について
(下村大臣)

次に、教育長の任期を3年とした点についてお聞きします。

政府は、教育長を首長の直接任命とした理由は、首長の任命責任が明確化することだと説明していますが、一方で、教育長の任期を3年としたことによって、任命した首長が選挙で交代してしまった場合には、その任命責任が失われてしまうことになります。新しい首長の教育方針が前任者と異なる場合には、首長と教育長との間に溝が生まれ、かえって教育行政を混乱させる結果を招くのではないでしょうか?

また、結果的に、首長が交代した場合には教育長も辞めざるを得なくなる状況を招き、かえって制度の形骸化を招く恐れはないのでしょうか?

これら二つの懸念について、下村大臣のご説明をお願いします。

6.  教育長の権限の拡大について(下村大臣)

次に、教育長の権限拡大についてお聞きします。

まず、今回の法案によって、教育長と教育委員長が統合されるわけですが、これによって教育長の権限は現行と比べてどの領域でどれだけ強化されるのか、現行法との比較において具体的にご説明を願います。

併せて、なぜそのような教育長の権限の強化が必要なのか、それによって、現状の地方教育行政上の課題がいかに解決されるのか、下村大臣、ぜひ分かりやすい具体例を挙げて明確にご説明をお願いします。

7.  教育長及び教育委員会事務局の職務執行に対するチェック機能について(下村大臣)

その上で、それだけ権限が強化される教育長が、万が一にも暴走してしまった場合、またそのような暴走を未然に防ぐために、誰がどのように教育長の職務執行状況とその内容をチェックして、歯止めをかけるのでしょうか?

今回の改正法案提出の一つのきっかけとなった2011年の「大津市いじめ事件」では、事件後、第三者調査委員会が報告書の中で、「教育委員に対して教育委員会事務局や学校側から詳しい情報提供がなく、委員が重要な決定のらち外に置かれていた」ことを指摘し、「重要なのは教育長以下、事務局の独走をチェックすることである」として、教育委員会事務局が執行する事務を監査する部署を外部に設置することなどを提言しています。

しかし、今回の政府案には、教育委員会事務局の強化や体制の見直し、第三者による監査制度の導入などの具体的な改善策は見当たりません。本法案において、教育長や教育委員会事務局に対する有効なチェック機能がどう確保されているのか、また、教育長と教育委員との間の情報格差を無くすためにどのような対策が講じられるのか、下村大臣、ご説明をお願いします。

加えて、学校当事者や市民などによる有効なチェック機能を働かせるためにも、総合教育会議及び教育委員会での議事録の策定、及び公開の義務化は必須だと考えますが、なぜ、義務化されないのでしょうか? 下村大臣は、可能な限り議事録を作成し、公表するよう指導していくと説明されておりますが、そうであれば、むしろ原則、義務化して、規模の小さい教育委員会には必要な支援や補助を提供する方がよっぽど改革の整合性があると考えますが、なぜそうしないのか、併せてご説明をお願いします。

 

8.  教育に学校現場の当事者の参加・参画を確保する必要性について
(安倍総理)

最後に、教育に、学校現場の当事者の実質的な参加・参画を確保することの必要性についてお聞きします。

下村大臣は、衆議院の答弁の中で、緊急のいじめ問題への対応については、基本的には学校現場で解決すべきであって、いちいち総合教育会議にかけることではないと説明しています。とすれば、今回の改正案においては、むしろその学校現場での対応力強化について具体的な策を講じるべきだと思いますが、この点について政府案では何ら改善策を示しておりません。

そもそも、緊急事態のみに限らず、個々の子どもたちの興味や個性に応じた豊かな教育を提供していくためには、学校現場の教育関係者や当事者である親御さんたち、またそれぞれの学校を支える地域のコミュニティーの皆さんが学校運営に参加・参画し、子どもたちに最も近いところで様々な課題が迅速に解決される仕組みこそ必要なのだと思います。

この点について、なぜ今回の改正でそのことに焦点が当てられていないのか、今後、学校運営協議会を全ての学校に必置にして、学校現場における教育体制をより充実・強化していく考えはないのか、安倍総理の見解をお願いします。

 

以上、政府提出法案に対する質問を申し述べました。

安倍総理は、衆議院本会議における我が党の菊田真紀子議員の代表質問に対して、「民主党政権は、政権を担っていた三年間、教育改革に何をやったのでしょうか」と驚くべき発言をされています。しかし安倍総理が一番よくご存じのはずです。民主党政権下では、教育予算の拡充、公立高校の授業料無償化の実現、国際人権規約の留保撤回、奨学金の拡充、少人数学級の推進、そしてコミュニティスクールの導入促進など、具体的な改革を実現しています。

そもそも、着実に成果を出していた公立高校授業料の無償化を、その意義も理解せず、政権に戻るや撤回したのは安倍政権ではないですか。その一方で、少人数学級や奨学金制度など、民主党教育改革のいい所はそのまま維持・推進しながら、それをさも、自分の手柄のように言い回っているのもあなたの政権ではないですか。

民主党政権の成果を苦々しく思うのはいいですが、事実をねじ曲げ、政局判断でいい政策を潰して、子どもたちに被害を与えるのは看過出来ません。

冒頭に、私の懸念を申し上げましたが、今、安倍政権が進めようとしているさまざまな教育改革は、教育における国の介入を強化し、国家の意思や特定の思想信条を教育現場や子どもたちに押しつけ、さらにはテストの点数で子どもたちや学校を競わせて、その結果のみで優劣をつけ、差別化するなど、国が、子どもたちを自分たちの思う方向へ誘導する、まるで、戦前の教育への回帰を図っているのではないかと思えてなりません。

今回の地教行法の改正は、60年に一度の大改正であり、憲法で保障された教育権を、そして日本の次代を担う子どもたちの豊かな学びの権利を、地域社会全体で支え、強化していくための改正でなければなりません。そのためには、責任体制を明確化しつつも、教育の政治からの中立性と地域の独自性を確保し、子供たちに最も近い学校現場の教育体制を強化していくことこそ、私たちが実現しなければならないことだと信じます。

これから始まる参議院での審議を通じて、より望ましい方向に地方教育行政を進めていくことができるよう与野党あげて取り組んでいくことを要請し、私の質問を終わります。

 (了)

八重山教科書採択地区問題に関する視察で石垣島、竹富島を訪問!

 

先にお知らせしていた通り、5月19日(月曜日)に、民主党文教科学部門会議による沖縄県・八重山教科書採択地区問題に関する視察を実施し、私も構成員の一人として参加してきました。以下、視察の概要を報告します。

 

(まずは沖縄県庁内で、沖縄県教育委員会の皆さんとの会合。終了後、メディアのぶら下がり取材に応対)

 

 

今回の訪問では、八重山教科書採択地区問題の当事者である沖縄県、石垣市、竹富町の教育委員会と直接お会いし、ヒアリングを行いました。それぞれ中身の濃い会合でしたが、得られた情報をごく簡潔にまとめると次のようになります:

 

【沖縄県教育委員会】竹富町を八重山教科書採択地区から切り離し、単独で採択地区に指定する方向で5月21日の教育委員会に諮る。認められれば、竹富町が単独で教科書研究など出来るよう支援する。 (石橋コメント)沖縄県教委として、改正教科書無償法に則った教科書採択地区の変更を、市町村教委の意向を出来るだけ尊重して実現しようという意志が感じられました。これまで文科省からの圧力にも屈せず、竹富教委の主張を支えてきた沖縄県教委の姿勢に敬意を表したいです。

 

【石垣市県教育委員会】八重山は一体であり、共同採択地区は今後も継続していくべきだが、公民の教科書について法違反をしているのは竹富町であり、石垣・与那国から歩み寄ることはない。 (石橋コメント)八重山は一体と言いながら、石垣側から歩み寄ることはないと否定されたのは残念でした。視察団の団長である中川・元文科大臣は、「和して同ぜず」という言葉を贈りました。八重山地域はこれからも一つだが、必ずしも全く同じである必要は無く、それぞれの自治体の特色を生かした取り組みをお互いに尊重しあっていくことが大事だ、という意味です。

 

【竹富小学校校長】竹富では、町内みんなで力を合わせて子どもの学びを支えている。教科書問題で混乱はなく、子どもたちの学力も秋田に近いぐらい高いレベルになっている。 (石橋コメント)現場の皆さんが誇りを持って教育に携わっておられることがよく伝わりました。一クラスの生徒数は少ないですが、子どもたちも元気いっぱい、勉強に励んでいました。

 

【竹富町教育委員会】竹富教委は地教行法に則って教科書選定に責任を果たしてきたし、竹富だけが教科書無償法違反というのは納得出来ない。民主党政権の時には無償法の対象にはならないが、町が独自に教科書を無償で子どもたちに配布することは問題ないと言ってくれたのに、自民党政権になったら急に法違反だからダメだと言われた。我々としては、単独で教科書採択を行いたいし、教科書研究も十分できる。将来的には、学校単位で教科書が採択出来るよう頑張って行きたい。(石橋コメント)私も、この3年間の竹富教委と文科省とのやりとりを全て確認しましたが、竹富教委の主張の方が正しいと判断しています。教委の皆さんが本当に自信と誇りをもって子どもたちの教育にあたっていただいていることを強く感じましたし、ゆくゆくは学校単位で教科書採択を出来るようにしたいという方向性もばっちりです。

 

ということで、タイミングも良く、充実した視察となりました。

 

そして!

5月21日(水)に開催された沖縄県教育委員会の会合で、竹富町を単独で教科書採択地区として認めることが決定されました。良かった!

教科書問題: 竹富に「満額回答」地区協内は不協和音(毎日Web 5月21日)

 

でも、まだ安心はできません。上のリンクの毎日新聞の記事にもあるとおり、これから沖縄県教委がその決定を文科省に報告することになりますが、文科省・・・というよりは、下村大臣をはじめとする自民党の文教族たちがすんなりその決定を認めるかどうかです。法律上、決定権は沖縄県教委にあるのですが、国(文科省)が助言、指導できるという規定があって、こういう規定をつかって意に沿わない自治体の決定にイチャモンをつけるのは自民党の常套手段。これまでも散々、竹富町に筋違いの強権発動をしてきましたからね・・・。

 

私たち民主党の文部科学部門としては、今後の展開をしっかりモニターしながら、沖縄県教委の決定が尊重されるよう、そして、竹富町教委が今後、無事、教科書選定のプロセスを履行できるよう応援していきたいと思います!

 


(石垣市教育委員会・玉津教育長との会談)

(竹富小学校の校長先生との会合)

 (竹富小中学校の入り口にて)

(竹富島にて。とってもいい雰囲気です)

(竹富町長を表敬訪問)

(竹富町教育委員会の皆さんとの会談)

(石垣市長を表敬訪問。政治が教育に介入することはしないと断言!)