民主党厚生労働部門・連合共同勉強会の模様

本日(4月16日)夕刻、定期的に開催されている民主党の厚生労働部門と連合の共同勉強会が開催され、私も出席してきました。今日の勉強会は、外国人労働者の受け入れ問題がテーマで、昨日のブログでも報告した外国人技能実習制度についても議論しました。

冒頭、連合の伊藤雇用法制対策局長から①外国人労働者に関する連合の基本的考え方、②高度人材ポイント制について、③技能実習制度について、④最近の動向、についてヒアリング。その中で連合としては、外国人労働者の人権を尊重し、保護を適切に行う必要があること、高度人材ポイント制度については真に我が国の産業にイノベーションをもたらしてくれるような高度人材に限るべきであること、等の考えが示されました。

また、技能実習制度については、「人づくり」への国際貢献を目的とする制度であるにもかかわらず、現在は実態として単純労働者の受け入れ手段となっていることや、労働関係法令違反、人権侵害、失踪などトラブルが多く発生していることなど、問題の多い制度であるとの認識でした。

質疑の中で、私から昨日の議連での論議を踏まえ、技能実習制度のなし崩し的拡大によって外国人労働者の受け入れ拡大を図ることは決して認められないことを指摘しつつ、連合として今後、真に国内産業に不足が生じている分野での外国人労働者の受け入れを制度として検討していく用意があるかどうか、連合の考え方を質問しました。連合からは、今後議論していく予定との回答でした。

今日の勉強会でも、高度人材ポイント制度や技能実習制度など、現行の外国人労働者受け入れ制度には、さまざまな課題があることが浮き彫りになりました。今後も、いろいろな角度から問題点を追及しつつ、あるべき政策を提言していきます。

民主党「多文化共生議連」第3回総会開催

本日(4月15日)夕刻、民主党「外国人の受け入れと多文化共生社会のあり方に関する議員連盟」の第3回総会を開催しました。今日の総会は、4月4日に政府が決定した「外国人技能実習制度の実質拡充による外国人建設労働者の受け入れ拡大方針」に対して、われわれ議連としてその問題点や今後の検討課題を理解するために緊急的に開催したものです。

 

まず、移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連)の鳥井一平事務局長より「使ってはならない技能実習制度」というテーマでヒアリング。続いて、外国人研修生問題弁護士連絡会の共同代表である指宿昭一弁護士から「技能実習制度の致命的欠陥」という表題でヒアリングを行いました。

鳥井事務局長は、外国人技能研修制度の歴史や現在の状況について説明。特に、技能実習制度の本来の目的は「我が国が先進国としての役割をはたしつつ国際社会と調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の発展途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う『人づくり』に協力すること」であることを指摘され、その上で現在の実習制度は、全くその目的に合致しない制度になってしまっていることを実態を踏まえて強調されました。

指宿弁護士は、①実習制度の目的と実態の乖離、②雇用主変更の自由の否定、③送り出し・受け入れプロセスにおける中間搾取・権利侵害の危険性等、が現行制度の問題であると指摘し、労働力として受け入れるのであれば、韓国における外国人雇用許可制を参考にした新たな制度を創設する必要があることを提案されました。

その後、担当省庁から、政府が4月4日に決定した技能実習制度の実質拡充による建設労働者の受け入れ拡大に関する緊急措置について説明を受けました。

特に、その主担当となる国土交通省から、建設分野における外国人材の活用について「即戦力の確保を念頭に置き、建設分野の技能実習を修了した者について、引き続き国内に在留して、又は一旦本国へ帰国した後に再入国して、雇用関係の下で建設業務に従事できるようにすること」を予定していると説明がありました。この措置は、2020年までの時限措置で、在留資格は現行の「特定活動」を利用しつつ、技能実習制度の下で整備してきた管理制度を一部改正してそのまま利用するとのことです。

「まさにそこが問題!」と、参加議員からは疑念の声が続出でした。

結局、今回政府が計画している外国人労働者の受け入れ拡充は、深刻な欠陥を持っている現行の外国人技能実習制度の延長線上にあるもので、本来、諸外国の人材育成に協力する目的で実施している技能実習制度を、堂々と(?)日本の労働力不足を補う目的で利用するもので、到底受け入れがたい内容です。

議連としては、今後さらに政府の計画案を検討し、問題点を追及していきます。

参議院決算委員会で質問に立ちました!

本日行われた参議院決算委員会、「平成23年度及び平成24年度決算に関する質疑」で民主党質疑者の一人として質問する機会をいただいたので、沖縄振興関連決算に絞って質疑を行いました。

主な質問事項は下記の通りですが、今日は普段と違って(?)、政府の姿勢を追及する質疑ではなく、沖縄振興関連事業の決算をいかに効果的なものにして、より実効性ある沖縄振興事業を実現するか、という観点で質疑しました。というのも、今回、議題となっている平成23年度及び平成24年度決算というのは、民主党政権下で組まれた予算の下で実行された沖縄振興事業で、当時私は参議院の沖縄北方問題特別委員会の委員で審議に参加していたのです。

その責任も感じながら、建設的な質疑を行いたかった、というわけです。

実際、答弁に立った山本一太・内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策担当)も、予想以上に前向きな答弁をしてくれました。特に、私が指摘・提案をした、①第四次沖縄振興計画10年間の総括決算の策定、②毎年の沖縄振興関連予算の決算報告の見直し(全ての事業を一覧できる決算報告の作成)、③沖縄振興関連事業が雇用の質の充実や沖縄県民の暮らしの向上に貢献しているかどうかという観点での評価、④沖縄科学技術大学院大学と離島の学校をITネットワークで結んだ公開授業等の実施、などについて、全て大臣の責任において前向きに検討する旨、回答してくれました。

う〜ん、ちょっと出来すぎ・・・(笑)

まあ本当に前向きに検討してくれるか、何か具体的な取り組みをしてくれるかが勝負ですので、今後の検討とその後の結果をしっかりとフォローしていきたいと思います。

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参議院決算委員会質疑(2014年4月14日) 沖縄振興関連決算(平成23年度&24年度)
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1.第四次沖縄振興計画(平成14〜23年度)の総括的評価について

(質問)第四次沖縄振興計画10年間の「決算」とその「影響評価・効果分析」が存在しないが、政府の責任で策定して、その結果を今後の沖縄振興に役立てるべきではないか?

 

2.沖縄振興の目的と、事業の評価のあり方について

(質問)沖縄振興策は、「沖縄県民の暮らしや雇用の量と質の向上、そして将来への安心や安全の向上」を達成することが目標のはず。それらをきちんと計れる指標を用いて、毎年の沖縄振興策全体としての効果、各事業の効果をしっかり評価・公表し、次なる沖縄振興施策に活かすべきではないか?

 

3.沖縄振興予算とその決算について

(質問)毎年度の沖縄振興策の総体的な効果をきちんと評価する上で、内閣府実施分だけでなく、政府全体としての沖縄振興関連事業の決算をまとめて出して、きちんと予算と対比して評価分析ができるようにすべきではないか?

 

4.平成24年度からスタートした沖縄振興一括交付金について

(質問)沖縄振興一括交付金のハード事業の決算はどうなっているか? 各省庁に移し替えたものを、内閣府で一括して決算一覧として分かりやすく示すべきではないのか?

(質問)県として個別事業の事後評価を行って国に報告しているが、国としても事後評価システムを作る必要があるのではないか? 特に、個別の事業の達成度ではないく、事業総体としての効果を検証することを国の責任でやるべきではないか?

(質問)一括交付金の市町村分の配分方法について、平成24年度当初は、人口が多くて財政力がある自治体ほど予算を多く獲得してしまい、結果として県内格差が拡大してしまうという不満の声も出ていたと理解しているが、その後、いかに改善してきたか?

5.経済開発特区のこれまでの実績と沖縄振興への効果、今後の課題について

(質問)経済開発特区については、かなり苦戦していて、情報通信特区は順調に成果を挙げているが、特別自由貿易地域は相当に苦戦して、今、国際物流特区に衣替えし、金融は相当に苦労している。特区の有効性については、冷静な分析をして、ダメなものはダメ、いいものはさらに伸ばすといういい意味での取捨選択が必要ではないか? また、特区の評価についても、これがどう沖縄県民の暮らし、雇用の質の向上に貢献しているかでその効果を検証すべきではないか?

6.沖縄科学技術大学院大学のこれまでの成果・実績と沖縄振興(人材育成)への効果について

(質問)沖縄科学技術大学院大学については、創設前の国会審議でも、果たしてどこまで沖縄県の振興に効果があるのか、県民の暮らしの向上に役立つのかについて質疑があった。正式に開学して1年半が経過しているが、沖縄県民の人材育成や地場企業への貢献という観点で、いかなる実績を上げているか? また、県民の人材育成への貢献という観点では、北部地域や離島の子どもたちの学びの向上への貢献を期待したいが、例えば離島の学校と大学院大学をITネットワークで結んで、世界的な研究者の公開授業をやったり、子どもたちからの質問に答えたり、そういう人材育成への貢献を検討して貰えないか?

(以上)

ITC-ILO時代の同僚が国会事務所を訪問

今日、かつて勤務していた国際労働機関(ILO)国際研修センター(ITC)の友人が、国会事務所を訪ねてきてくれました!

8年ぶりぐらいの再会でしたが、第一声は「ますます若くなったね!」(笑) イタリア人から見れば確かに幼く見えるわけですが、それにしても未だに「20代でもおかしくない」とは言い過ぎ・・・。

ITC-ILOは、イタリアのトリノにあるILOの国際研修センター。私はここで、2001年1月から2006年3月まで、労働者活動局のアジア太平洋地域担当計画官として仕事をしたわけです。赴任した時、学生インターンと間違われたことを思い出します(^0^;)

かつての同僚、モーリッツィアは、今回、夫婦で春休みをとって日本に旅行に来たわけですが、これから2週間かけて飛騨高山〜金沢〜京都〜岡山〜広島と旅して回るそう。きっと、夏休みはまた3週間ぐらいとってどこかへ行くんだろうな〜。皆さん、これが欧州のスタンダードなんですよ!

OECD(経済協力開発機構)議員連盟が設立されました

4月8日(火)午後、新たに結成された超党派の「OECD議員連盟」の発足記念レセプションが開催され、私も発起人の一人として会合に参加してきました。

 

実は私も知らなかったのですが、今年は日本のOECD加盟50周年の節目の年にあたるそうで、5月にパリで開催される閣僚会議では日本が議長国を務めることになっています。今後、OECDにかかわる案件で、政治側の対応が必要になる場面が多くなることも想定されるため、超党派の議員連盟を結成して、党派を超えた連携・協力を行っていくことが確認されたわけです。ちなみにこの日の会合には、来日中のアンヘル・グリアOECD事務総長も出席され、OECD議連に参加した議員たちとの懇談・懇親を行いました。

今後、OECD関連の案件について議連として取り組みを進めて行く中で、とりわけ、民主党が重要視している社会労働政策の視点を十分に追求・確保していく必要があることから、私も事務局次長として積極的に参加・参画していきたいと思っています。

 

参議院文科委員会で質問に立ちました!

今日の参議院文教科学委員会では、政府提出の「教科書無償措置法を一部改正する法律案」の審議が行われ、民主党からは私と同僚の那谷屋議員が質問に立ち、改正案に反対する立場でその問題点を指摘しました。

教科書無償措置法とは、義務教育で使用する教科書を無償配布するための具体的方法や教科書採択の仕組みなどを定めた法律です。今回その改正の契機となったのが、すでにこのブログでもご紹介した、沖縄県・八重山採択地区協議会の教科書選定問題。石垣市、竹富町、与那国町の三市町の教育委員会で構成する八重山採択地区協議会で、平成23年の夏から公民の教科書について協議が調わない状態が続いていて、現在に至るまで解決していない問題です。

最大の問題は、どう客観的にみても「三教委による協議は不調に終わっていて、未だ同一の公民教科書を採択するに至っていない」にもかかわらず、文部科学省が「協議の結果は出ているのに、竹富町だけがその結果に従っておらず、違法な状態が続いている」との勝手な解釈に固執し、竹富町にだけ無償法に基づく教科書に支給を行っていない点です。つまり、教科書無償措置法(第9条第4項)に基づけば、三教委とも協議が調っていない状態に責任を負うべきなのに、竹富町だけを悪者にしてさまざまな指導・要求を行っていることが問題なのです。

しかも3月には、これまで一度も執行されたことのなかった「地方自治法第245条の5第4項」に基づく「市町村に対する是正要求」を、竹富町教育委員会に対して行ったのです。まさに前代未聞のことです。地方自治を尊重する観点から、国による地方自治体の自治事務への是正要求については「(当該自治体の自治)事務の処理が明らかに公益を侵害して」いて、かつ「当該地方公共団体の運営が混乱・停滞している」状態にのみ「抑制的に行使すべし」と政府に要求した参議院の決議があります。文科省は、竹富町にそのような実態がないにもかかわらず、強権的に介入を行ったわけです。

実は、竹富町は独自に公民教科書の無償配布を行っていて、現場では何の混乱も停滞も起きていないのです。むしろ竹富町に無用の混乱を生じさせ、問題の円満な解決を遅らせてしまっているのが文科省の道理のたたない政治介入と言わざるを得ません。

今日は、そのような文科省の対応の問題点について下村大臣を追及しました。いつものことですが、下村大臣は肝心なことには全然答弁せず、「民主党政権時代に対応したことだ」「2年間指導してきたが解決に至っていないのが問題だ」などとはぐらかし、文科省の解釈や対応の間違いを認めようとしないばかりか、自民党政権になってから突如、強硬になった竹富町への対応について何ら正当な説明をしようとしませんでした。

その上で今回の改正案の問題です。

本来、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)」で、教科書の選定・決定権は市町村教育委員会にあると定められています。にもかかわらず、教科書無償措置法の下では、複数の市町村(郡)が共同採択地区を構成できることになっていて、そこでは協議によって同一の教科書を採択するよう要求されていることが問題なのです。時として、市町村教委の教科書決定権が奪われてしまう事態が発生するわけですね。

つまり本来あるべき改正の方向性は、市町村教委がもつ教科書選定・決定権を、教科書無償措置法の下でも尊重できるように改正することなのです。しかし今回の政府案は、真逆の方向の改正で、共同採択地区における協議会の設置を義務付け、しかもその協議会の運営方法についても政令で国が物申す、という内容なのです。

今の自民党政権らしい改正だと言ってしまえばそれまでですが、国の教育への介入を強めようとする狙いがみえみえですね。

しかし残念ながら、与党や維新の会の賛成により、この問題ありの政府案が可決してしまいました。悔しい限りですが、施行後の運用で、不当な介入が行われないようにチェックを強めていきたいと思います。

岩田ひろたか島根県議の県政報告会に参加

4月5日(土)、米子鬼太郎空港経由で松江に向かい、夕方市内で開催された岩田ひろたか島根県議会議員の県政報告会に参加してきました。

土曜日の夕方にもかかわらず、会場には100名近い支援者の皆さんが集まっておられて、熱気ムンムン。初当選から3年間、県民のために頑張ってきた岩田ひろたか県議の支援の輪が広がっていることを実感させてくれました。

連合島根の仲田会長らのご挨拶に続いて、私も激励と連帯のご挨拶。「せっかくだから国政報告を!」の声に応えて、約15分間、国政の状況や重要政策課題などについてお話ししました。その中身は、私が最近、あちらこちらで訴えている、集団的自衛権の容認や憲法改悪、労働者保護規制の緩和、社会保障(生活保障)の切り下げなどが現実のものとなった時に「いったい日本は、そして島根はどんな国、社会になるのか?」という問題提起。岩田県議の支援者の皆さんにも、ぜひ知っておいていただきたいことでした。

岩田県議も、任期は残すところあと1年。これからも引き続き、県民のために真っ直ぐに政治活動に邁進して、皆さんの期待に応えていただきたいと思います。私も、国政と県政との連携強化をめざして、岩田県議と協力して取り組んでいきたいと思います。

民主党文部科学部門会議で「著作権法改正法案」への対応決定!

4月3日(木曜日)の朝、民主党文部科学部門会議が行われ、私が法案担当主査として検討を進めてきた「著作権法改正案」について、賛成することを決定しました。

この日の会合では、まず、日本経団連からヒアリングを行い、その後、法案審査に入りました。私から、以下の提起を行って、満場一致で決定いただくことが出来ました。

① 改正案は、いくつかの点で不十分かつ曖昧で、満足できるものとは言えないが、電子書籍に出版権設定が出来ないという現行著作権法の大問題に対応することの緊急性に鑑み、賛成とする。

② その上で、懸念される点や確認が必要な事項について、衆参委員会での質疑を通じて確認答弁をとりつつ、必要事項について附帯決議に盛り込んでいく。

今回の著作権法改正案は、これまで電子書籍に対応していなかった出版権を、新しい時代に対応した形へと改善するための第一歩になるもので、今後、その適切な運用で電子書籍の流通促進と有効な海賊版対策を確保していくとともに、出版権の管理制度や利活用促進のためのナショナル・アーカイブ等の実現に向けて、さらなる前進を遂げていきたいと思います。

「電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟」総会にて著作権法改正案の成立を確認

4月2日(水)の午後、私が事務局長をつとめる超党派の「電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟」の今年度第2回目となる総会を開催し、電子書籍に対応した「著作権法改正案」についての協議を行いました。

はじめに、総会の直前まで開催されていた、衆議院文部科学委員会での法案審議状況を各党質問者から報告いただき、主な論点と政府側の答弁内容について確認しました。その上で、議連としての最終的な方針を次の通り決定しました。
    1. 法案の内容については、電子書籍に対応していない出版権の問題を打開するために大きな前進を図ることが出来る観点で、議連としては賛成する;
    2. その上で、これまでの議連方針と異なる点を中心に、懸念される点を委員会質疑を通じて明らかにするとともに、必要な事項を附帯決議に盛り込むべく、働きかけを行う;
    3. 著作者と出版者との今後のルールづくりをしっかり見守りながら、出版権の集中管理機構やナショナル・アーカイブ等、日本の出版・印刷文化の振興のために必要な施策の実現を求め、今後、更なる活動を続けていく。
 以上のように、議連として法案の成立に一致協力して努力を続けて行くことと、将来的な課題に向けて議論を継続していくことを決定しました。引き続き、議連の事務局長としてがんばっていきますので、今後の取り組みにぜひご注目下さい!

 

 【委員会質疑で確認すべき事項】

1.本法の目的と出版権制度の拡充・利活用促進

  • 本法の目的が、我が国の多様で豊かな出版・活字文化を一層発展させ、著作者の権利を保護しつつ多様な著作物を多様な出版形態でより多くの国内外の利用者に届けていくことにあること。
  • そのため、真に実効性ある海賊版対策を確保するなど、出版権制度の拡充と利用促進に向けて必要な対策を行う必要があること。

2.出版制度の尊重

  • 我が国が世界に誇る出版・活字文化は、著作者と出版を引き受ける者との間の信頼関係に基づく、企画から編集、制作、宣伝、販売という一連のプロセスからなる出版制度がその基盤にあること。
  • 本法によって設定可能となる電子的な公衆送信にかかる出版権の下でも、この出版制度が尊重され形で運用されること。

3.雑誌等、複数の著作物によって構成される著作物

  • これまで出版権設定が進んでこなかった雑誌等、複数の著作物によって構成される著作物などについても出版権設定が可能であることを確認し、周知すること。
  • 加えて、物権的に細分化された出版権が設定された特定の出版物の海賊版が流通した場合でも、効果的な海賊版対策を行える措置を講じること。

4.塩漬け問題の回避

  • 本法案では、効果的な海賊版対策を講じる観点から、著者が契約締結時において電子書籍を出版する意志や計画がない場合であっても1号出版権・2号出版権を一体的に設定することが推奨されるが、その後、著者が電子書籍の出版を希望する(当該出版者または別の出版者)に至った場合に、当事者間の調整が整わず、著者の意図に反して出版が行われないまま塩漬けにされることがないよう適切な対策を講じること。

5.2号出版権のみ設定された場合の海賊版対策

  • 電子的な海賊版については、ひとたびインターネット上で公衆送信行為が行われれば完全に差し止めることは困難で、甚大な被害が生じてしまうことから、2号出版権しか持たない出版者においても違法配信目的で複製がなされた場合には著作権法第112条の「出版権を侵害するおそれがある場合」としてその段階で差止請求を行い得ることを周知しつつ、その具体的な事例について研究を行うこと。

6.みなし侵害規定の検討

  • 真に有効な海賊版対策を講ずるため、今回の改正で見送られた「みなし侵害規定」の創設を含め、実効性ある対策について速やかに検討に着手すること。

7.海外の海賊版対策

  • 海賊版については、日本国外での被害が圧倒的多数であることから、その対策強化をはかるための国際的な連携・協力の強化など、海外での不正流通取締対策に積極的に取り組むとともに、出版物の正規版の海外流通の促進に向けて官民挙げた取り組みを推進すること。

8.登録制度に係る検討

  • 出版権の登録・管理制度、およびナショナル・アーカイブ等を早急に整備するため、具体的な検討に着手すること。
  • また、当事者間の契約上の紛争予防および紛争が発生した際の円満な解決の促進をめざし、出版契約における裁判外紛争解決手段(ADR)を創設すべく必要な対策を講ずること。

9.障害者のための著作物利用の促進

  • 障害者のための著作物利用の促進と円滑化に向けた著作権法の適切な見直し、特に、障害の種類に関わらず全ての障害者がそれぞれの障害に応じた形態の出版物を容易に入手できるよう第37条第3項の改正を検討すること。

(以上)

 

民主党「多文化共生議員連盟」として法務省入国管理局長へ申し入れ

先日(3月26日)のブログ記事「民主党多文化共生議連第2回総会を開催!」の中で、去る2010年3月22日、国費送還中に死亡したガーナ国籍男性ABUBAKAR AWUDU SURAJ氏(スラジュ氏)に関する国家賠償請求訴訟で、東京地裁が3月19日、入管職員の行為とスラジュさんの死因とに因果関係があることを認定して国家賠償を命じる判断を下したことについてお知らせしました。

裁判の原告であるスラジュ氏のご遺族、そしてこれまでご遺族を支えてきた支援団体の方々は、この判決の内容について必ずしも満足はしていないものの、入管職員側の行為の不当性を認定していることなどを積極的に評価し、政府に対しても、この判決を真摯に受け止め、控訴することなく入管の対応の抜本的改善に取り組むことを訴えておられます。

すでに民主党の法務部門会議でも、本件についてすでに2度にわたってヒアリングを行っています。3月27日(木)に行われた2回目のヒアリングには法務省入管局の担当に来てもらって、控訴を断念することを訴えるとともに、(1)国費送還の実施方法に関する内規が事件後に改善されたことについて、改善前のものと後のものを資料として提出すること、(2)入管職員に対する人権教育の実施状況について、使用されているテキスト等を含めて資料提供すること、などを要請しました。

そして、3月28日(金)の午後、緊急で、3月26日の多文化共生議連総会で決定した法務省に対する要請行動を行いました。法務省側の対応は、入管局長を初めとする担当者たち。議連側は、会長である中川正春衆議院議員、事務局長の私、事務局次長の徳永エリ参議院議員、そして幹事の神本美恵子参議院議員の4名が参加。要望書の内容は、主に①控訴を行わないこと、②判決内容を真摯に受け止め、入管職員の対応や国費送還のあり方について抜本的な改善を行うべく、直ちに検討に着手すること、③抜本的な改善が実施されるまでの間、強制的な国費送還は行わないこと、の3点でした。

 

本当なら、谷垣大臣に直接、手渡しして要望したかったのですが、まだ係争中の案件であることを理由に入管局長への要請となりました。しかし谷垣大臣にしっかり要望内容を伝えるよう要請したのは言うまでもありません。控訴期限は4月2日とのこと。何とか政府には控訴を断念し、一刻も早く入管行政の在り方、改善等の見直しに着手して欲しいと思いますし、当議連としても重要な課題として引き続き議論を進めていきたいと思います。