残業代ゼロ法案、再び?

う〜ん、やっぱり出てきました・・・。

「残業代ゼロ」一般社員も 産業競争力会議が提言へ(朝日新聞デジタル 4月22日)

政府の産業競争力会議が、労働時間にかかわらず残業代が一定になるような働き方(裁量労働制の拡大?)を、一般社員にまで広げることを検討しているとのこと。6月に改訂される予定の成長戦略に盛り込まれるかも知れないとも・・・。

第一次安倍政権の時に、ホワイトカラーエグゼンプションの導入を画策したものの、世論の大反発を受けて取り下げた過去を持つ安倍総理。さすがにもう懲りたかと思いましたが、昨年からすでにこの議論がくすぶっていて、ここに来て一気に浮上してきたという感じです。

36協定の特別条項を結べば労働時間が実質、青天井になる日本で、裁量労働制を一般労働者にまで拡大してしまったらまさに残業代ゼロで労働時間ばかりが長時間化することになりかねません。労組の組織率が17.7%に止まっている現状に鑑みれば、労使による歯止めなど多くの職場では期待できません。

労働者派遣法の緩和、有期雇用規制の緩和、国家戦略特区における解雇基準の明確化などに続く、労働者保護規制の緩和策・・・。一体、安倍政権はどんな労働社会を創ろうとしているのでしょうか。労働者の犠牲の上に立つ企業の成長なんてあり得ないということがなぜ分からないのでしょうか?

民主党厚生労働部門・連合共同勉強会の模様

本日(4月16日)夕刻、定期的に開催されている民主党の厚生労働部門と連合の共同勉強会が開催され、私も出席してきました。今日の勉強会は、外国人労働者の受け入れ問題がテーマで、昨日のブログでも報告した外国人技能実習制度についても議論しました。

冒頭、連合の伊藤雇用法制対策局長から①外国人労働者に関する連合の基本的考え方、②高度人材ポイント制について、③技能実習制度について、④最近の動向、についてヒアリング。その中で連合としては、外国人労働者の人権を尊重し、保護を適切に行う必要があること、高度人材ポイント制度については真に我が国の産業にイノベーションをもたらしてくれるような高度人材に限るべきであること、等の考えが示されました。

また、技能実習制度については、「人づくり」への国際貢献を目的とする制度であるにもかかわらず、現在は実態として単純労働者の受け入れ手段となっていることや、労働関係法令違反、人権侵害、失踪などトラブルが多く発生していることなど、問題の多い制度であるとの認識でした。

質疑の中で、私から昨日の議連での論議を踏まえ、技能実習制度のなし崩し的拡大によって外国人労働者の受け入れ拡大を図ることは決して認められないことを指摘しつつ、連合として今後、真に国内産業に不足が生じている分野での外国人労働者の受け入れを制度として検討していく用意があるかどうか、連合の考え方を質問しました。連合からは、今後議論していく予定との回答でした。

今日の勉強会でも、高度人材ポイント制度や技能実習制度など、現行の外国人労働者受け入れ制度には、さまざまな課題があることが浮き彫りになりました。今後も、いろいろな角度から問題点を追及しつつ、あるべき政策を提言していきます。

民主党「多文化共生議連」第3回総会開催

本日(4月15日)夕刻、民主党「外国人の受け入れと多文化共生社会のあり方に関する議員連盟」の第3回総会を開催しました。今日の総会は、4月4日に政府が決定した「外国人技能実習制度の実質拡充による外国人建設労働者の受け入れ拡大方針」に対して、われわれ議連としてその問題点や今後の検討課題を理解するために緊急的に開催したものです。

 

まず、移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連)の鳥井一平事務局長より「使ってはならない技能実習制度」というテーマでヒアリング。続いて、外国人研修生問題弁護士連絡会の共同代表である指宿昭一弁護士から「技能実習制度の致命的欠陥」という表題でヒアリングを行いました。

鳥井事務局長は、外国人技能研修制度の歴史や現在の状況について説明。特に、技能実習制度の本来の目的は「我が国が先進国としての役割をはたしつつ国際社会と調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の発展途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う『人づくり』に協力すること」であることを指摘され、その上で現在の実習制度は、全くその目的に合致しない制度になってしまっていることを実態を踏まえて強調されました。

指宿弁護士は、①実習制度の目的と実態の乖離、②雇用主変更の自由の否定、③送り出し・受け入れプロセスにおける中間搾取・権利侵害の危険性等、が現行制度の問題であると指摘し、労働力として受け入れるのであれば、韓国における外国人雇用許可制を参考にした新たな制度を創設する必要があることを提案されました。

その後、担当省庁から、政府が4月4日に決定した技能実習制度の実質拡充による建設労働者の受け入れ拡大に関する緊急措置について説明を受けました。

特に、その主担当となる国土交通省から、建設分野における外国人材の活用について「即戦力の確保を念頭に置き、建設分野の技能実習を修了した者について、引き続き国内に在留して、又は一旦本国へ帰国した後に再入国して、雇用関係の下で建設業務に従事できるようにすること」を予定していると説明がありました。この措置は、2020年までの時限措置で、在留資格は現行の「特定活動」を利用しつつ、技能実習制度の下で整備してきた管理制度を一部改正してそのまま利用するとのことです。

「まさにそこが問題!」と、参加議員からは疑念の声が続出でした。

結局、今回政府が計画している外国人労働者の受け入れ拡充は、深刻な欠陥を持っている現行の外国人技能実習制度の延長線上にあるもので、本来、諸外国の人材育成に協力する目的で実施している技能実習制度を、堂々と(?)日本の労働力不足を補う目的で利用するもので、到底受け入れがたい内容です。

議連としては、今後さらに政府の計画案を検討し、問題点を追及していきます。

OECD(経済協力開発機構)議員連盟が設立されました

4月8日(火)午後、新たに結成された超党派の「OECD議員連盟」の発足記念レセプションが開催され、私も発起人の一人として会合に参加してきました。

 

実は私も知らなかったのですが、今年は日本のOECD加盟50周年の節目の年にあたるそうで、5月にパリで開催される閣僚会議では日本が議長国を務めることになっています。今後、OECDにかかわる案件で、政治側の対応が必要になる場面が多くなることも想定されるため、超党派の議員連盟を結成して、党派を超えた連携・協力を行っていくことが確認されたわけです。ちなみにこの日の会合には、来日中のアンヘル・グリアOECD事務総長も出席され、OECD議連に参加した議員たちとの懇談・懇親を行いました。

今後、OECD関連の案件について議連として取り組みを進めて行く中で、とりわけ、民主党が重要視している社会労働政策の視点を十分に追求・確保していく必要があることから、私も事務局次長として積極的に参加・参画していきたいと思っています。

 

民主党「多文化共生議員連盟」として法務省入国管理局長へ申し入れ

先日(3月26日)のブログ記事「民主党多文化共生議連第2回総会を開催!」の中で、去る2010年3月22日、国費送還中に死亡したガーナ国籍男性ABUBAKAR AWUDU SURAJ氏(スラジュ氏)に関する国家賠償請求訴訟で、東京地裁が3月19日、入管職員の行為とスラジュさんの死因とに因果関係があることを認定して国家賠償を命じる判断を下したことについてお知らせしました。

裁判の原告であるスラジュ氏のご遺族、そしてこれまでご遺族を支えてきた支援団体の方々は、この判決の内容について必ずしも満足はしていないものの、入管職員側の行為の不当性を認定していることなどを積極的に評価し、政府に対しても、この判決を真摯に受け止め、控訴することなく入管の対応の抜本的改善に取り組むことを訴えておられます。

すでに民主党の法務部門会議でも、本件についてすでに2度にわたってヒアリングを行っています。3月27日(木)に行われた2回目のヒアリングには法務省入管局の担当に来てもらって、控訴を断念することを訴えるとともに、(1)国費送還の実施方法に関する内規が事件後に改善されたことについて、改善前のものと後のものを資料として提出すること、(2)入管職員に対する人権教育の実施状況について、使用されているテキスト等を含めて資料提供すること、などを要請しました。

そして、3月28日(金)の午後、緊急で、3月26日の多文化共生議連総会で決定した法務省に対する要請行動を行いました。法務省側の対応は、入管局長を初めとする担当者たち。議連側は、会長である中川正春衆議院議員、事務局長の私、事務局次長の徳永エリ参議院議員、そして幹事の神本美恵子参議院議員の4名が参加。要望書の内容は、主に①控訴を行わないこと、②判決内容を真摯に受け止め、入管職員の対応や国費送還のあり方について抜本的な改善を行うべく、直ちに検討に着手すること、③抜本的な改善が実施されるまでの間、強制的な国費送還は行わないこと、の3点でした。

 

本当なら、谷垣大臣に直接、手渡しして要望したかったのですが、まだ係争中の案件であることを理由に入管局長への要請となりました。しかし谷垣大臣にしっかり要望内容を伝えるよう要請したのは言うまでもありません。控訴期限は4月2日とのこと。何とか政府には控訴を断念し、一刻も早く入管行政の在り方、改善等の見直しに着手して欲しいと思いますし、当議連としても重要な課題として引き続き議論を進めていきたいと思います。

参議院厚生労働委員会で質問に立ちました!

本日(3月27日)行われた参議院厚生労働委員会で、民主党会派を代表し、議題となった「雇用保険法の一部を改正する法律案」の質疑に立ちました。

今、常任委員会の所属は文教科学委員会ですので、今日は委員を差し替わっての登板。昨年の通常国会以来、久し振りの厚生労働委員会での質問となりました。

なぜ私が今日、厚生労働委員会の質問に立ったかというと、3月6日(木)の参議院予算委員会で私が質問に立った時に、雇用保険事業の一つである「労働移動支援助成金」のあり方について質問したのですが、答弁に立った田村厚生労働大臣がすれ違いの答弁を行った(つまり、質問の意味を取り違えて答弁した)のです。そのために、今日はあらためてこの「労働移動支援助成金」についてその内容を質すため、質問の機会をいただいたのでした。

質疑の詳細は、参議院インターネット審議中継の録画でご覧をいただきたいと思いますが、今日の質疑を通じて、来年度予算でなんと300億円もの巨額予算が付けられたこの「労働移動支援助成金」が、運用次第で、ちまたで懸念されているように「リストラ支援助成金」となり得るものであることを明らかに出来たと思います。

簡単に言いますと、この助成金は、労働者のリストラを決めた企業(送り出し企業)が、対象となった労働者の再訓練と再就職の支援を民間人材ビジネス会社に委託した場合、まず委託費用を支払った際に10万円の奨励金が支払われ、再就職が成功した際に委託費用の半額(または中小企業の場合は3分の2)から最初に支払った10万円を引いた額が成功報酬として支払われるというものです。

さらに、その対象となった労働者を雇用した企業(受け手側企業)が、その労働者を期限の定めのない労働者として雇用し、さらにOFF-JT/OJTなどの訓練を実施した場合に、その訓練費用などに助成金を支払います。

これが、安倍政権の言う「成熟産業から成長産業への失業なき労働移動」の目玉の事業なわけです。

さて、パッと聞くとなかなか良さそうな事業に聞こえるかも知れませんが、しかし中身はまったくいい加減なものと言うことが今日の質疑を通じて明らかになりました。

送り出し企業が受け取る最初の10万円は、再就職が成功するしないには関係なく、受け取ることができます。さらに、成功報酬は、再就職先が非正規雇用であっても受け取ることができるのです(雇用保険の被保険者になることが唯一の要件)。また、再雇用されても、その雇用が継続するかどうかは問われません。極端に言えば、有期で31日以上雇用されて雇い止めにあっても、成功報酬は支払われるのです。

派遣労働も対象になりますので、派遣事業者に登録して31日以上働いて、それで終わりになってもOKということになってしまいます。

これで、1企業、最高で年間500人まで、一人当たり上限60万円まで奨励金が支払われます。今回から大企業も対象になりましたので、例えば500人リストラした大企業が、人材ビジネス企業に総額6億円の委託を行い、非正規でも派遣でもいいから再就職を実現させれば、3億円の奨励金を受け取ることが可能ということです。

また、受け手側企業への奨励金は、労働者を期限の定めのない労働者として雇用することが条件になっていますので、送り出し企業への奨励金よりは条件が厳しくなっているように見えます。しかしこちらも、派遣労働でもO.K.なので、とりあえず常用型の派遣労働者として雇用して、何がしかの訓練を提供すればそれで奨励金を受け取ることが出来てしまうのです。

問題は、これがなぜ、「成長産業への移動支援」になるのかということです。

送り出し側は、再就職先が非正規でも構わないし、受け手側も、派遣労働でも構わないわけです。何と言っても、厚生労働省はこれまで、この助成金事業の対象となった企業や労働者が、いったいどの産業のどの分野の企業・労働者で、どの分野にどのような雇用形態で再就職が出来たのか、全く把握していなかったというのです。

つまり、政策効果がまったく検証されていない事業を「成長産業への失業なき労働移動」の目玉政策と位置づけて、300億円もの巨額の予算を付けてしまったわけですね。結果、喜ぶのは奨励金を貰ってリストラができる送り出し企業であり、巨額の委託事業を引き受けることができる人材ビジネス会社だけだったという結果になってしまうのではないか、これが私たちの懸念なのです。

今日の質疑で、最後に田村厚生労働大臣は、今までまったく把握していなかった対象企業や労働者の産業分野や異動先の雇用形態などの情報を把握し、その結果を公表して政策効果の検証を行うことを約束しました。今日の問題提起が、今後の事業の運用に一定の歯止めを掛けて、間違っても「リストラ支援助成金」にならないよう、私たちもきっちりチェックをかけて行きたいと思います。

民主党「多文化共生議連」第2回総会を開催!

本日(3月26日)午後、民主党「外国人の受け入れと多文化共生社会のあり方を考える議員連盟(以下、多文化共生議連)」の第2回総会を開催しました。

今日の総会は、実に盛りだくさんな内容! はじめに、日本国際交流センターの毛受敏浩(めんじゅとしひろ)執行理事より、「日本の人口問題と社会・経済への影響〜移民議論の活性化をめざして」というテーマで講演をいただき、意見交換。講演の中で毛受さんは「日本の人口減少は今後、さらに加速化していく。社会の基本的サービスや経済の活力を維持していくためには、外国人を受けるしかなく、そのために政府として:1.移民受け入れの必要性とメリットを明確にすること; 2.ソフトランディング政策の強力な支援体制を整備し、外国人とのWin-Win となるビジョンを提示すること、などが必要であると強調されました。

講演に続き、現政権が検討を進めている外国人の受け入れ拡大政策について、その主な検討事項や今後のスケジュールを中心にヒアリング。具体的には、「外国人受け入れのあり方に関する議論の状況(内閣府:経済財政諮問会議、産業競争力会議等)」、「外国人技能実習制度の改革(法務省、厚労省)」、「高度人材ポイント制度の改革(法務省、厚労省)」、「2020東京オリンピックに向けた外国人労働者(主として建設労働者)受け入れの特例措置(国土交通省)」、「経済連携協定(EPA)等における介護士、看護士の受け入れ拡大(厚労省、外務省)」をテーマに各省庁担当者から説明してもらいました。

詳細な説明は省きますが、端的に言って、現政権はなし崩し的に外国人労働者の受け入れを拡大していこうとしています。外国人技能実習制度については、国内でこれまでにも様々な問題(人権侵害等)を引き起こしているのですが、その抜本的改善には触れず、単に拡大だけを検討しているわけです。しかも、「労働者不足を解消するために技能実習制度を活用」とまであからさまに言い始めています・・・(実習制度はあくまで研修のためのもの。労働力不足解消のためと言った瞬間に、制度の存立基盤そのものが破綻してしまうはずなのに)。

議連としては、今後、民主党内での政策議論に資するために、これらの短期的な課題を検討する作業チームをつくり、対応していくことを決定しました。

会合の最後には、ガーナ国籍の男性が、国費(強制)送還中に法務省入国管理職員の不当な制圧行為によって窒息死してしまった事件、「スラジュさん送還死亡事件」に関する国家賠償請求訴訟で、3月19日に東京地裁が原告「勝訴」の判決を出したことについて協議。結果、多文化共生議連として、ご遺族や支援NGOが政府(法務省)に対して控訴断念の要請を行うことを支援し、法務大臣に対して:1.控訴を行わないこと、2.判決内容を真摯に受け止め、入館職員の対応や国費送還のあり方について抜本的な改善を行うべく、直ちに検討に着手すること、3.抜本的な改善が実施されるまでの間、強制的な国費送還を行わないこと、を要請する要請書を提出することを決定しました。

こういう残念な事件がある限り、なし崩し的に外国人(労働者)の受け入れ拡大を図ることは、むしろ社会にとっての負の影響を拡大してしまう懸念があります。政府には、ぜひ誠意ある対応を要請したいと思います。

以上、今日の多文化共生議連総会の報告でした!

ILO活動推進議員連盟第1回勉強会を開催

3月26日(水)の朝、超党派の国会議員で構成する「ILO活動推進議員連盟」の2014年度第1回勉強会を開催しました。

今回は、昨年来、何度か議連勉強会の場で議論に上っていた「移民労働問題」を取り上げ、一橋大学の倉田良樹教授をお招きして「移民労働に関する国際労働基準について」というテーマでご講演をいただきました。

倉田教授は、まず、ILOの「移民に関する多国間枠組み」を基に、移民に関する15の原則の概要について説明。その上で、①日本の外国人技能実習制度について、この多国間枠組みに基づいて検討すべき論点、さらに②韓国の移民労働者受け入れ制度の事例紹介について、わかりやすくご説明頂きました。

続いて行われた出席議員との質疑応答では、移民と外国人労働者との定義の違いから始まり、日本の外国人技能実習制度の評価、上手くいっていると言われている韓国の移民労働制度(雇用許可制)の実効性や推進体制、さらには長野五輪の際の外国人労働者の受け入れ状況など、さまざまな角度から質問が出され、活発な意見交換となりました。

東ティモール法務大臣との意見交換

3月24日(月)、超党派の有志議員で構成する「東ティモール議員連盟」の主催で、東ティモール民主共和国より来日されたソアレス法務大臣をお招きしての意見交換会を開催しました。

ソアレス法務大臣は、今回が初めての来日ということで、主に日本の司法制度について視察する目的で来日されたとのことです。あまり時間がなくて、質疑をゆっくりすることは出来なかったのですが、かつてILO時代に4回訪問した経験のある東ティモールの現状についてお伺いすることができて、大変いい機会となりました。

厚生労働省「短期集中特別訓練事業」の入札不正疑惑について

突然、テレビ朝日の「報道ステーション」に、私の参議院予算委員会での質疑の様子が出てきて驚いた方もおられるのではないでしょうか? いや、私もああいう形で取り上げられるとは思わなかったので、何だか戸惑うやらこっぱずかしいやら・・・。

いや、しかし取り上げた問題は、予算事業のあり方(=皆さんの税金の使われ方)に関わる重大な問題です。だからこそ、新聞やテレビで報道されたのですね。

ということで、以下、テレビをご覧になれなかった方々のために少しだけ解説します。

3月6日(木)の参議院予算委員会で私が取り上げたテーマの中に、「一般会計における失業者・求職者支援対策について」というのがありました。その中で、平成25年度補正予算案の中で政府が実施を決定した「短期集中特別訓練事業」の入札不正疑惑を取り上げたのですね。

これ、非正規労働者などを対象に導入編的な職業訓練を行う事業で、2月18日にその事業を請け負う委託先の公募が開始になって、午前10時に一旦、正式な公募が厚生労働省のホームページに掲載されたのです。ところが、その約1時間後に、突然、削除されてしまいました。

そして、翌日、再びホームページに掲載されたのですが、なんと、公募の要件(入札条件)が変更になっていたのですね。で、何が変わっていたかというと、「全省庁統一資格」という資格(=全ての省庁の競争入札に参加できる資格)が削られていたのです。

事業は、厚生労働省が所管している独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」が請け負うことが決まっていましたが、厚生労働省は「いったん公示したあとで参加の条件を変更したのは不適切だった」として、募集をやり直すことを決めました。
事業を請け負うことが決まっていた法人は「全省庁統一資格」を持っておらず、田村厚生労働大臣は、募集を公示したあとにこの法人から厚生労働省に電話があったことを明らかにし、応募条件を変更したいきさつについて調べる方針を示しています。
田村厚生労働大臣は、参議院予算委員会で、「どういう経緯で変わったのか、これから調べないとならないが、たとえ1時間であろうが何時間であろうが、1回、条件を示したものが、途中で変わって、それによって入札が行われるのは許されることではない。最初の要件でやり直させてもらう」と述べ、入札をやり直す考えを示しました。