参議院厚労委「漏れた年金問題集中審議」で再び質問に!

6月16日(火)の午後、参議院厚生労働委員会で、2回目となる「年金情報流出問題に関する集中審議」が開催され、民主党を代表して私が40分の質問をさせていただきました。私自身、6月4日(木)に、参議院内閣委員会で本件に関して60分の質疑を行ったのに続き、2回目の質疑となりました。

本件については、すでに報道等で、皆さんもよくご存じのことと思いますし、ご自身の年金情報は大丈夫か?とご心配の方もおられるのではないかと思います。

125万件に及ぶ年金個人情報が日本年金機構から漏洩したことが公表されたのは、6月1日のことでした。しかし、問題の端緒となった標的型ウィルスへの感染は5月8日のことで、公表に至るまで3週間以上を要しています。これまでの国会質疑で、次第に5月8日以降の経過が明らかになってきているのですが、そこには、(1)日本年金機構によるあまりに杜撰な個人情報保護・管理の実態、(2)厚生労働省による全くいい加減なサイバーセキュリティ対策体制と運用の実態、(3)政府としてのサイバーセキュリティ体制の不備、があったのです。

今回、これまで明らかになった事実を踏まえ、さらに深掘りをしていく意味を込めて質問した内容は、主に以下のとおりです。

 

★IMG_6590

 

1.厚生労働省の情報セキュリティ対策推進体制について

厚生労働省の官房長が、現在 最高情報セキュリティ責任者となっているが、CSIRTの責任者にもなっている。省庁セキュリティ体制として適切なのか問いただしましたが、厚生労働省の情報政策担当参事官と役割分担して対応しているという答弁。厚生労働省としての情報セキュリティ対策の推進体制がまったく機能していない現状が露呈しました。

2.内閣サイバーセキュリティセンター(NISC-GSOK)による5月8日及び22日の不正通信の検知と、厚生労働省(情報担当参事官室)への通知、その後の厚生労働省からの報告や助言・指導のやり取りについて

内閣サイバーセキュリティセンターが、厚労省統合ネットワークのシステム構成を共有していなかったことが明らかになりました。つまり、政府の情報セキュリティ対策に大きな穴が空いていたことになり、相当に問題だと担当者を追及しました。政府は、サイバーセキュリティ法案が改正されたことで今後はそうならないよう改善していくとの答弁ですが、今まで監視できていなかった組織が、これで機能するようになるのか疑問です。

さらに、5月8日に、GSOKが厚労省統合ネットワークから外部への不正通信を検知して、それをシステム掲載で厚労省に連絡した際、その通知を受け取る窓口としてNISCには厚生労働省・情報政策担当参事官室の①室長補佐、②専門官、③係長、④係員の4名が登録されていたことを確認。これまで「係長しか知らなかった」と答弁していたことが誤り(隠蔽?)であったことが明らかになりました。また、係長が4月1日に異動してきたばかりなのにいきなり課室情報セキュリティ管理者に使命され、特別な研修を受けることも今回の事案に対処させられていた事実も判明。やはり、今回の問題については厚生労働省の責任は大きいです。

IMG_6560

 

3.5月8日に、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC-GSOK)から、厚生労働省統合ネットワークから外部への不正通信があったことについて通知(連絡)を受けて以降、厚生労働省・情報セキュリティ委員会及びCSIRTが手順書に則って行った対処行動について

5月8日の時点で、不正通信の発生源が日本年金機構であること、しかもそれが、福岡の九州ブロック本部の端末であることがわかっていたのになぜ、1台の端末だけ遮断をして、年金機構のネットワーク全体、少なくとも九州ブロック全体を遮断しなかったのか再三たずねましたが、明確な答弁は得られませんでした。年金機構も厚生労働省も、全く当事者意識のない答弁で、このままでは再発防止は遠い道のりです。

4)これまで流出が確認された125万件のファイルについて

今、分かっている125万件の漏洩がどのサーバーから起きて、そのサーバーにはほかにもデータがあり、そのデータがさらに流出している可能性について質しましたが、現在 捜査中なので詳細の説明はできないとの答弁の繰り返し。しかし、可能性があることについては否定できませんでした。すでにその危険性は把握しているはずで、早く国民に注意喚起すべきであることを強調して、質問を終わりました。

今回、2度目の質問でしたが、日本年金機構も厚生労働省も、答弁内容がころころ変わるため、再三審議がストップし、十分な原因究明が出来ていません。単に日本年金機構だけの問題ではなく、厚生労働省、そして政府全体のサイバーセキュリティ対策の問題であり、危機感を強く持たざるを得ない状況です。今後も、国民の皆さんからの信頼回復をめざし、この問題にしっかりと取り組んでいきます。

参議院内閣委員会で年金個人情報漏洩問題について質問!

6月4日(木)、先週に引き続き、参議院内閣委員会で、個人情報保護法改正案及びマイナンバー法改正案の質疑に立ちました。

★IMG_6410

 

実は、元々、先週(5月28日)やり残した質問をやる積もりで準備していたのです。ところが、皆さんも報道等でご存知の通り、今週になって前代未聞の年金情報漏洩事件が発生し、日本年金機構から現在分かっているだけで約125万件もの年金個人情報が漏洩したことが明らかになりました。国民の皆さんから心配・懸念の声が噴出している中で、まずこの問題についてその全容や原因の解明、そして漏洩した情報の悪用を防ぐための体制構築に全力を尽くさなければ、到底、個人情報保護法改正案やマイナンバー法改正案についての理解が得られないであろうとの判断で、急きょ、この「漏れた年金情報」問題に集中して質疑を行いました。

主な質問項目と、やり取りのポイントは以下の通りですが、今まで明らかになっていなかった新事実を含めて、質疑した私自身も、驚き、唖然とする答弁の連続でした。ここでの紹介には限界がありますので、ぜひ参議院インターネット審議中継で質疑の模様をご覧下さい!

 

1)山口IT担当大臣の関与と責任について

まず、質問して驚いたことは、政府のIT担当の責任者である山口大臣に、この年金情報漏洩問題の報告があったのは5月30日だったということです。5月8日に、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が異常なアクセスを検知して厚生労働省に通知してから20日以上経っています。いくら、一義的に対応するのは所管官庁である厚生労働省とはいえ、政府のサイバーセキュリティ対策の司令塔がこんな重大な問題について20日間以上も認知していなかったことは大問題です。日本年金機構をターゲットにした攻撃型ウィルスメールであれば、これはある種、我が国の中枢に対する攻撃と同等であり、この緊急事態に対応する政府の責任体制はどうなっているのか、一体誰が司令塔として対応するのかが分からないことを露呈してしまったことになります。

山口大臣ご自身、そのことについて問題意識も持たず、反省すらされていない様子。これでは国民の心配は払拭されないでしょう。そのことを強く、糾弾しました。


2)初動の対応について

これまでの説明では、5月8日に、内閣サイバーセキュリティーセンター(NISC)が「日本年金機構に対する不正アクセスを検知し、通知した」と報道されていたのですが、今日の質疑で、NISCが監視していたのは「厚生労働省のシステム=統合ネットワーク」であり、その厚生労働省の統合ネットワークに対する不正アクセスを検知したというのが事実であることが判明しました。法律上、日本年金機構はNISCの監視対象にはなっていないのですが、日本年金機構が厚生労働省の統合ネットワークに繋がっていたため、NISCの監視に引っ掛かったわけです。

システム構成がどうなっているのか、詳細を確認してみないとなんとも言えませんが、しかし可能性としては、今回、日本年金機構の内部LANに仕掛けられてしまったバックドアを通じて、厚生労働省の統合ネットワークに侵入することも可能だったのではないか?と恐ろしくなり、その点を厚生労働副大臣に対して突きつけたのですが、「(今回については)厚生労働省のシステムへの侵入は認められていない」という答弁に終始し、「今回は幸い侵入がなかったとしても、システム構成上、その危険があった可能性は否定できないのではないか?」との重ねての追及には、明確に答弁がありませんでした(出来なかった?)。この点は大事なところなので、引き続き、確認しておきたいと思います。

 

3)年金機構の個人情報管理の実態について

今回の最大の問題は、日本年金機構の職員が、外部(インターネット)とつながったネットワーク上にある「共有ファイルサーバー」に、国民の大切な年金個人情報を基幹システムから移して、日常の業務を行っていたことにあります。そのことを、日本年金機構の水島理事長に対し、なぜそんなことを許していたのか、ずっと以前からそのような運用が常態していたのか追及したところ、水島理事長は「ルール上は禁止されている。しかし、例外的に認められていて、条件としてパスワードの設定などが要求されていた」と非常に苦しい説明。これまで漏れた年金情報のうち、55万件にはパスワードがかけられていなかったことが分かっており、恐らくは相当に杜撰な個人情報管理をしていたのだと思います。そして、もうずっとこういう運用がされてきたことも否定されませんでした。

日本年金機構に対する監督責任がある厚生労働省年金局も、日本年金機構の情報セキュリティガイドラインの内容については把握していたものの、そのガイドラインが規定通り運用されているのかどうかについては一度も現場のチェックを行っていなかったことも判明しました。この点、厚生労働省大臣の責任も追及されなければなりません。


4)漏えいした個人情報の全容について

現時点で漏洩した年金個人情報は、125万件とされています。これがいかにして確認をされたのか、これ以上件数が増えることはないのか、これまでに漏洩が明らかになっている四情報(基礎年金番号、氏名、生年月日、住所)以外に個人情報が漏れている可能性はないのかを質しました。

すでに報道されている通り、125万件の漏洩とその中身が確認されたのは、警察庁が年金機構システムのログを解析した結果、都内のある会社のサーバーと不審なやり取りがあったことを発見。その会社のサーバーを押さえたところ、年金機構から漏れたと思われるファイルが一部、残っていたため、そのファイルを年金機構側と照合したところ、漏洩ファイルであることが確認されたわけです。サーバーに残っていたのが漏洩したファイル群の「一部」であるならば、流出したのはそれ以上である可能性が高いわけですね。

また、そのファイルが、年金機構の共有ファイルサーバーのどこから抜かれたのか(どの物理セクター、どのツリー、どのディレクトリー?)、どの端末を経由して抜かれたのかも質しました。漏洩したファイルと同じツリーやディレクトリーにあるファイル(フォルダー)で、侵入されたPCの権限で入り込めるレベルのところまでは、当然、漏洩の恐れが否定できないわけで、その点を確認したかったわけです。

しかし水島理事長は、再三、答弁に窮しながらも、結局は「未だ調査中」「捜査中なので明らかにできない」を繰り返し、明確な回答は得られませんでした。しかし、すでにログの解析は相当程度に行われているはずで、漏洩の可能性がどこまで広がる恐れがあるのか(ないのか)は、ある程度分かってきていると思うのです。恐れがあるのであれば、早く国民に周知して、備えをしなければ、被害が拡大してしまう可能性があります。全く責任意識に欠けた姿勢で、これでは国民の懸念は払拭できませんね。


5)外部との遮断をなぜ5月8日の時点で行わなかったのか?

次に深刻な問題は、なぜ日本年金機構が、ウィルスへの感染を最初に検知した5月8日に、または100歩譲って、大量のウィルスメールが届いて2台目の感染が確認された5月18日頃に、外部との接続を遮断しなかったのか、ということです。

今日の質疑でも、NISCが5月22日に再び、厚生労働省統合ネットワークからの不正アクセスを検知して、年金機構にも伝えられています。にもかかわらず、年金機構が外部ネットワークとの全面的な遮断を行ったのは5月29日で、その前に、九州ブロックの遮断を5月22日、東京本部の遮断を5月23日と、部分的な対応だけを行っていたのです。一部報道でも、5月22日〜23日に機構のネットワークから外部への大量のデータ通信があったことが伝えられています。つまり、5月19日の時点で外部ネットワークへの遮断を行っていれば、今回の流出は防げたのです。

外部ネットワークとの接続を遮断したら業務に支障が出るのではないか、と思われるかも知れませんね。今日、そのことを水島理事長に確認しましたが、支障は全くないわけではないが、基本業務への支障はないとの答弁でした。であればなおさら、不正アクセスが判明した時点で遮断しなかった責任は重大です。そしてやはり、そのことを指示できなかった厚生労働省、及び政府全体の危機管理のあり方も問われなければなりません。

 

以上、今日の質疑のハイライトです。

今回の年金情報の漏えい問題は、システムの問題というよりは、日本年金機構の組織としての個人情報管理・保護の問題であり、政府のサイバーセキュリティの体制の問題なのではないでしょうか。であれば、同様の問題は、マイナンバーでも起こり得るのではないかと国民の多くが思うのも当然と言わざるを得ません。

やはり、この問題の全容解明と再発防止策の検討を最優先すべきです。私が所属している参議院厚生労働委員会でも、この問題についての集中審議が来週、予定されています。また、民主党としても「漏れた年金情報調査対策本部」を設置して、連日、対策会議を開催して党を挙げての取り組みを行っています。引き続きこの問題に私も全力で取り組んでいきます。

民主党「厚生労働部門会議」に出席〜労働時間規制の緩和問題について議論しました

3月19日(木)の朝8時より民主党「厚生労働部門会議」が開催されました。主な議題は、①裁量労働制の見直しや残業代ゼロ制度(労働基準法改正案)の検討状況、②医療保険制度の見直しについてで、厚生労働省や連合からのヒアリングを受けたあと、議員間で議論を行いました。

 

P3190010

 

裁量労働制の拡大に伴う議論では、私から厚生労働省に対し、裁量労働制における労働時間の実態調査について質問。厚生労働省が行った調査は、使用者側への調査を行ったもので、労働者側への調査は行っていないことを確認しました。つまり、実際の労働時間からはかなり少なめに結果が出てしまう懸念があるわけです。

それでも1日18時間超えの裁量労働制労働者が、専門業務型で8.5%、企画業務型で3.1%もいるという結果で、裁量労働制での長時間勤務の実態が浮き彫りとなりました。裁量労働制を採用している企業の約4割で、労働時間を適切に把握していないという調査結果もあるため、実態はもっと厳しいかも知れません。

また、裁量労働制適応労働者の脳・心臓疾患や精神障害といった労災に関わる件数も、きちんと把握されていない実態も分かりました。労働時間が把握されていない事業場が多いわけですから、過重労働起因で何か起こっても、労災申請すら困難なわけですね。

今回の労働時間規制の見直しについては、残業代ゼロ法案または過労死促進法案または定額働かせ放題法案と呼ばれるべき「高度プロフェッショナル労働制」に注目が集まりがちですが、短期的にはこの裁量労働制の拡大の方が悪影響が強いのではないかと危惧しています。何せ、ある種の営業職にも適用が拡大されるのですが、定義の仕方次第では、数百万人規模の営業職労働者に裁量労働制が適用できるようになってしまうからですね。要注意です!

なお、医療保険制度の見直しについては、患者申出医療の創設、健康保険の標準報酬月額の上限額の引き上げについてを議論しましたが、こちらも問題多し・・・。ふぅ〜、安倍政権はいったい労働者を何だと思っているのか・・・(-.-#)

民主党「社会保障と税の一体改革総合調査会」で年金問題を議論

今日(3月18日)午後、民主党「社会保障と税の一体改革総合調査会」に出席しました。議題は、「年金制度改革の検討状況」について。厚生労働省の担当よりヒアリングを行い、質疑・意見交換をしました。

 

★P3180005

 

質疑応答の中で私は、現行年金制度の課題は、(1) 今すでに低年金・無年金が問題になっているが、今後、マクロ経済スライドの発動によって基礎年金部分がさらに縮小し、低年金問題をさらに悪化させる可能性が高いこと、(2) 非正規雇用労働者の増加が止まらない中で、本来、自営業者等を想定した国民年金の加入者の大半が賃金労働者となり、保険料の未納・滞納で無年金・低年金となる高齢者が増加していること、であると指摘。その上で、今やるべきは非正規雇用労働者への厚生年金の適用拡大なのに、政府はその適用を10年後に先送りするような議論をしている(今日のヒアリングの中でそういう説明があったのです)ことは問題ではないのか?と説明を求めました。

具体的には、10年程度先送りすることで、無年金・低年金の問題がどれだけ悪化し、社会的コスト(生活保護費等)がどれほど増大することになるのか?と問うたわけですが、「そのような試算はしていない」というのが回答。まあ予想していたこととは言え、現行制度の固執する現政権らしい杜撰な議論だと感じました。

年金問題は、やはり抜本的な改革を議論していくべきです。民主党としてこの調査会でしっかり議論を尽くしていけるよう、私も積極的に参加していきます。

代理出席報告  民主党新しい公共・社会的包摂総合調査会 

秘書の田中です。国立社会保障・人口問題研究所の阿部部長より、「貧困の現状と必要な対策について」ご講演頂きました。平成25年国民生活基礎調査を受けて以下のような政策提言をいただきました。

1)解明されていない貧困の実態

①子どもの貧困率が上昇し続ける理由(2012年で16.3%)

②ひとり親世帯の貧困率の悪化(2009→2012年)の理由

③20ー24歳の貧困率が高いのに対し、25−29歳では低くなる理由

④最貧層と貧困層の違い

⑤高齢期(特に女性)の貧困の現状

 

2)「期待」される生活の中身

①最低限の生活ラインはどこか

②潤沢な再分配や早期の労働条件の改善が期待できない中、「家計」の中で圧縮できるところはあるか

③人々の「安心」を育む政策は何か

 

 

 

民主党 政策勉強会  代理出席報告

一橋大学 経済研究所の小塩 隆士さんをお招きして、「所得格差・貧困と再分配政策」についてご講演いただきました。主なポイントは以下のとおりです。

①日本社会は、所得格差が拡大しているというより、総じて貧困化している

②日本の再分配政策は、年齢階層間の所得移転が中心であり、たとえば「子どもの貧困」「高齢者の貧困」といった支援すべき人を支援できていない

③再分配政策を「困っている人を困っていない人が助ける」仕組みに再編成すべき。具体的には、税額控除など低所得層に狙いを絞った対策や低所得高齢者の支援をより強化するために最低保証年金の制度化、年齢とは関係なく所得に応じた負担を求める税制の導入の必要性を提言されました。

最後の社会保障制度を与党だけで決めるのではなく、野党も参加した協議体で決めないとうまくいかないとの指摘が印象に残りました。

 

民主党 厚生労働部門会議   代理出席報告

平成27年度厚生労働省の予算概算要求について、説明を受けました。年金・医療に関わる自然増8,200億円を含む総額31兆6688億円という内容で、各項目の内容は多岐にわたるため省略しますが、年末に向けて財務省との厳しい予算折衝がこれから行われていきます。とりわけ、「子ども・子育て支援」「医療・介護」「年金」といった社会保障の充実に向けられる財源が、消費税率が来年10月に10%に予定どおり引き上げられるかどうかで変わってくるため、経済状況をにらみながらぎりぎりまで決まらない展開が予想されます。山井ネクスト大臣からは、①GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株式への運用を増やす取り組みはやめるべき②労働者派遣法案の臨時国会への提出や労働時間規制の改悪の試みはやめるべき③消費税は10%に予定どおり引き上げ、社会保障の安定財源を確保すべきとの3点を新大臣に対して要望して終わりました。

 

 

東日本大震災発災から3年目

今日、3月11日、東日本大震災から3年目を迎えました。

きっと、3年前の今日、午後2時46分に、自分がどこで何をしていたか、皆さん鮮明に覚えておられることでしょうね。私も、まるで昨日のことのように思い出すことができます。そして、その後に起こった出来事を、テレビの前に立ちすくんでただ呆然と見つめていた自分の姿や、慌てふためいて国会に辿りついて、さあこれから何をすればいいのかと自問自答していた姿も・・・。

あの日から、自分なりに、被災地の復旧と復興に力を注いできたつもりです。そして政治も、その時々にやるべきことを、懸命に努力して頑張ってきたと思っています。

しかし、復興が思い通りに進んできたかと言えば、残念ながらまだまだ進捗状況は厳しいと言わざるを得ません。今なお、多くの被災者の方々が避難生活を余儀なくされている現状、多くの皆さんが時間の経過と共に故郷に帰り住むことを断念しつつある実状、そして、厳しい避難生活の中で命を落としておられる方々が増えてきている現実・・・。

ゆっくりした歩みながらも、一歩、一歩、復興の取り組みは着実に前に進んでいると信じていますが、それでも、今日あらためて3年間の歩みを振り返った時に、その進んできた距離の短さ、歩みの遅さに悔しい思いを感じているのは私だけではないはずです。そして、被災地の復興が最優先と言いながら、一方でその歩みをさらに停滞させてしまうような政策がとられていることに怒りを覚えているのも、私だけではないと思います。

私たちは、今一度、あの未曾有の大災害が一瞬にして多くの人々の命を奪い、生活を破壊し、人生を変えてしまったことを思い起こし、そしてまた、このような自然災害がいつ何時、自分自身を襲うかも知れないことを認識して、みんなで力と心を合わせて、被災地の復興と、被災された方々の生活再建に力を注いでいく決意を新たにしなければいけません。

今日、3年目のこの日に、自分自身でそのことを再確認し、またこれから皆さんと一緒に復興に取り組んでいきます。

参議院予算委員会で質問に立ちました

平成25年度補正予算案は、衆議院での可決後、2月5日〜6日の2日間、参議院予算委員会で審議され、6日夜に行われた参議院本会議で与党の賛成多数により可決、成立しました。

予算委員会では、採決前の最後の「締め括り質疑」で私も質問に立たせて頂いて、片道6分間(往復で約20分)、最後の質問をさせていただきました。インターネット中継で応援いただいた皆さん、ありがとうございました!

私の質問は、主に二つの柱で組み立てました。

  1. 東日本大震災被災地の復興事業、特に福島の復興(含:除染対策、東電福島第一原発廃炉・汚染水対策)を加速化するために必要な人員・人材の計画と、その確保策について
  2. 企業業績の回復を、労働者全体の実質賃金(可処分所得)上昇に確実につなげて、内需拡大とデフレ脱却への好循環を持続的に実現するために政府が主体的に実施すべき施策について(大企業に賃上げを呼びかける以外に)

まず、1点目について。政府は、今回の補正予算、そして来たる本予算でも、被災地の復興事業、特に福島の再生加速化プランに追加の予算を付けているわけですが、全国的にも多額の公共事業費を計上していて、さらにこれから東京オリンピックの関連事業も本格化させようとしています。それだけに今まで以上の人材難が心配されているので、政府が人員計画をきちんと立てて、優先的に人材の確保を行うつもりがあるのかどうか、そのことを問うたわけです。

政府からは、安倍総理はじめ、復興事業の担当大臣から万全の体制をとって対応していく旨、前向きな答弁を記録に残すことができましたが、一方で、(1)復興事業の入札不調はまだ解消されていないこと、(2)事前に人員計画を立てて対応しているというよりは、問題が起こった時の事後対応になってしまっていることも明らかになり、懸念が完全に払拭されたわけではありません。

今後も、しっかりと復興の進捗を確認していきたいと思います。

そして2点目については、もう皆さんもご推察の通りの中身です。政府は、今国会を「好循環実現国会」と銘打っていて、本補正予算案のめざすところも、最終的には企業業績の回復を、労働者の雇用拡大や賃金の上昇につなげることと説明しているわけです。しかし、政府は企業に賃上げを要請する一方で、労働者保護法制の規制緩和を進めようとしています。「これでは決して労働者全体の実質賃金上昇にはつながらず、好循環など到底、実現出来ない!」と訴えたわけです。

安倍総理は、「非正規の底上げも行っていく」と言いつつ、規制緩和は否定せず、さらに「全ての雇用労働者にすぐに賃上げが行き渡るわけではない」ことも認めた答弁をしました。これはつまり、いわゆる「トリクルダウン(=上の階層の労働者の賃金が上昇すれば、そのおこぼれが次第にその下の階層の労働者にも行き渡っていくこと)」の考え方をとっていることを意味しますが、トリクルダウンがそう上手くはいかないことは、すでにこの15年の日本の歴史が証明しています。

政治が今、とるべき道筋は、「拡大してしまった非正規雇用を縮減していくこと、つまり、労働者保護規制を強化して、その上で企業の法令遵守を高めていくことではないのか?」と安倍総理にぶつけましたが、残念ながら総理には響かなかったようです。

ただ、2月5日に厚労省が発表した勤労者統計では、2013年中も、労働者の実質賃金は低下していることが明らかになっています。一部労働者(=一部の正社員)のボーナスなどは上昇したものの、パートを中心とした非正規雇用の割合が拡大し、その賃金がマイナスだったために、労働者全体の賃金が低下してしまっているのです。

これはまさに、格差が拡大しているということであって、雇用は引き続き不安定化の傾向を緩めていないということです。このままではダメですね。

補正予算はこれで成立しましたが、これから来年度予算案の審議がはじまります。勤労者・生活者の暮らしを守るためにも、これからの審議でしっかりと政府の政策や姿勢の是非を問うていきます!