「電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟」2014年度第1回総会開催!

今日は、朝8時から、超党派有志議員による「電子書籍と出版文化の振興に関する議員連盟(以下、議連)」の今年度第1回目の総会を開催しました。私は、この議連の事務局長を務めています。ちなみに、会長は自民党の河村建夫衆議院議員、会長代行は民主党の中川正春衆議院議員です。

今日の総会では、去る3月14日に閣議決定された「著作権法の一部を改正する法律案」について文化庁より説明を受け、法案の内容について議員間で意見交換を行いました。このブログでも、過去の議連総会での議論を紹介してきましたが、今回の著作権法改正案は、紙媒体による出版のみを対象としている現行の出版権制度を、電子書籍に対応した出版権として整備し直し、紙媒体から違法に複製されてインターネット上にアップロードされた海賊版等への対策を有効に行えるようにして、電子書籍の流通・普及促進を図ることを目的としたものです。

これまで、議連として昨年12月に決定した基本方針に基づいて、議員立法案の作成作業を進めてきました。同時に、「文化審議会出版関連小委員会」が昨年末に出した結論に基づいて文化庁が準備を進めていた法律案の概要が明らかになるのを待っていたわけですが、それがようやく出てきたので、今日、その内容について議連で初めてヒアリングを行ったわけです。

今日の説明と、それに続いて行った議員間討議の中で一番の焦点となったのが、電子書籍に対応する新たな出版権の内容(法律案の第80条に規定)と、その出版権の主体に関する規定(法律案第79条)についてです。

まず、出版権の主体については、現行の著作権法79条が「著作物を文書又は図画として出版することを引き受ける者に対し、出版権を設定することができる」と規定しているのに対し、今回の法律案79条ではこれを大きく変更し、「出版することを引き受ける者」と「公衆送信を引き受ける者」を並列して出版権の主体として規定をしている点が議論になりました。後者の場合、出版行為を行わない、いわゆる「純粋プラットフォーマー」(=出来上がった出版物のネット配信だけを行う業者)まで出版権の主体になり得るではないかと懸念するわけです。

また、出版権の内容についても、議連では「紙媒体の複製権」と「電子媒体の複製権+公衆送信権」を併せて出版権として規定すべきと考えていましたが、閣法案では「複製権」と「公衆送信権」とを分け、それぞれ1号出版権と2号出版権として規定をしています。これでは、1号出版権だけを持つ者はネット上の海賊版に対抗出来ないし、2号出版権だけを持つ者は違法複製に対抗できないことになってしまうのではないか、というのが懸念点です。

これらの点について文化庁に説明を求めたわけですが、残念ながらなかなか明快な答弁を得ることは出来ませんでした。議連としては、これからの法案審議に向けて、文化庁からさらなる説明を求めつつ、各党からも論点や問題点を出してもらって論点整理を図っていくことを確認しました。その上で、必要に応じて総会を開催し、議連の対応を決定していくことも決定して、今日の総会を終了しました。

民主党としての党内手続きも今週から始まりますが、文部科学部門会議では私がこの法案を担当する主査になりましたので、引き続きしっかり取り組んでいきます。

八重山教科書問題について

先週来、沖縄県の八重山教科書採択地区に関するニュースがメディアに取り上げられています。文部科学省が、採択地区のメンバーの一つである竹富町教育委員会に対して「地方自治法に基づく是正命令」を出したというのです。

実は、先日の参議院文教科学委員会での質問で、私もこの案件を取り上げ、政府の姿勢を批判していたところだったのです。たまたまタイミングが重なったとは言え、私が「政府の対応こそが間違っている」と追及した翌日に、その間違いを更に上塗りするような誤った対応(=竹富町教育委員会に対する行政指導)を文科省が行ったのですから、私がどれだけ憤っているか想像していただけると思います(苦笑)。

この問題についての細かい経緯は、WiKiペディアの解説に譲りたいと思いますので、ことの経緯をまだご存じない方は、ぜひその解説を読んでみて下さい。その上で、以下、いくつかのポイントを記載しておきます:

学校で使う教科書を選ぶ権利があるのは誰か?

本来、学校で使う教科書は、学校毎に、先生方や親御さん、地域の方々が子どもたちに最善の教科書を選ぶことが出来るようにするのが理想だと思います。例えば現在でも、私立学校の場合は、設置者(学校長)が教科書を選択出来るようになっています。

しかし義務教育の公立学校の場合には、様々な事情を考慮した上、現行の法律上は、市町村の教育委員会にその選定権が与えられています。これを定めているのが、地教行法(=地方教育行政の組織及び運営に関する法律)の第23条第6項です。

(教育委員会の職務権限)
第二十三条  教育委員会は、当該地方公共団体が処理する教育に関する事務で、次に掲げるものを管理し、及び執行する。
六  教科書その他の教材の取扱いに関すること。

つまり、現行の法律上、義務教育公立学校が使用する教科書の決定権は、各市町村の教育委員会にあります。

教科書無償法の定めとは?

一方、義務教育の学校教科書については、国が無償で子どもたちに(教育委員会、学校経由で)配布することが教科書無償法(=義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律)によって定められています。

その教科書無償法の第13条の4項に、以下のような規定があることが今回の問題の根源になっています:

(教科用図書の採択)
第13条  都道府県内の義務教育諸学校において使用する教科用図書の採択は、第10条の規定によつて当該都道府県の教育委員会が行なう指導、助言又は援助により、種目(教科用図書の教科ごとに分類された単位をいう。以下同じ。)ごとに一種の教科用図書について行なうものとする。
4  第1項の場合において、採択地区が2以上の市町村の区域をあわせた地域であるときは、当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書については、当該採択地区内の市町村の教育委員会は、協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならない

この第13条4項が言及している「採択地区が2以上の市町村の区域をあわせた地域」というのが、いわゆる「共同採択地区」というもので、同法の第12条に以下のように規定されています:

(採択地区)
第12条  都道府県の教育委員会は、当該都道府県の区域について、市若しくは郡の区域又はこれらの区域をあわせた地域に、教科用図書採択地区(以下この章において「採択地区」という。)を設定しなければならない。

ここが問題なのです。本来、教科書の採択権は「市町村の教育委員会にある」と地教行法で規定していながら、教科書の無償配布については「市や郡を合わせた共同採択地区では、同一の教科書を採択しなければならない」と規定しているのですね。しかも、第12条にあるように、教科書の採択地区は「市」または「郡」単位でしか設定出来ないようになっているために、町村の教育委員会は共同採択地区に入るしか選択肢がなく、そもそも単独で教科書の選択決定権が行使できなくなってしまっているわけです。

これは一つに、かつて「郡」が行政単位として重要な役割を果たしていた時代の名残なのでしょう。また、法律制定時、共同採択地区を設定した背景には、町村が単独で数ある教科書の内容を調査・研究したりすることが難しかったことや、当時の輸送・配送の状況などからも、町村毎に別々の教科書を採択することに経済・社会上の課題があったからでしょう。

それでもやはり問題は、市町村教育委員会が持つ教科書決定権が、教科書無償法の下で尊重されていないことにあるのは間違いありません。

文科省の対応こそが法律違反なのではないか?

今一度、教科書無償法の第13条の4をみて下さい。この条項が要請しているのは、「協議して同一の教科書を採択すること」です。主語は「当該採択地区内の市町村の教育委員会」ですので、採択地区のメンバーである全ての教育委員会が等しく、「同一の教科書」を採択するために「協議して」それを決定する法律上の責務を負っています。

ここで重要なのは、その協議の方法は何ら法律には規定されていない、ということです。協議の方法も、関係教育委員会が協議して決めればいいわけで、地方自治の観点から、そして教育に国の介入を許さない観点からも、その決定権は自治体に委ねられているのです。

そしてもう一つ。教科書無償法の目的は、国の責任で義務教育の教科書を子どもたちに無償で配布すること、そのための採択制度を整備することです。それ以上でもそれ以下でもありません。つまり、それを根拠に、国が市町村教育委員会が持つ教科書の選択決定権を踏みにじることなどあってはいけないわけです。

今回の場合、八重山地区では、石垣市、竹富町、与那国町の3つの市町教育委員会が教科用共同採択地区を構成しています。3者がいかにして協議し、同一の教科書を採択するかは、3者が合意して決定した「教科書選定協議会規約」に基づいて決められることになっています。

文科省は、この協議会規約を盾にして「竹富町がこの規約に従っていない」ので行政指導の対象となると言っているわけですね。しかし繰り返しますが、この協議会は協議のために3教委によって設置された任意の組織であって、法律上の根拠はありません。つまり、その任意の組織が出した答申が、法律上、市町村教委に認められた教科書の選定決定権を否定することはあり得ないのですね。

しかも、この八重山の教科書採択地区協議会の「規約」は、以下のように規定しています:

    1. 協議会は、3市町教委の諮問に応じ、採択地区内の小中学校が使用する教科書について調査研究し、教科種目ごとに一点にまとめ、3市町教委に対して答申する。(第3条)
    2. 3市町教委は協議会の答申に基づき、採択すべき教科書を決定する。(第9条4項)
    3. 3市町教委の決定が協議会の答申と異なる場合は、沖縄県教育委員会の指導助言を受け、役員会(3市町教育長で構成)で再協議することができる。(第9条5項)

実はこの規約、今回の問題が発生した平成23年8月の直前、6月に行われた協議会総会で改正されているのですが、その議論でかなり揉めているのです。議事録によれば、複数の委員が「答申を踏まえて最終的に決定するのは各教委なんだから、第9条の5項は不要なのではないか」という意見を出しています。それを、協議会の会長さんが「(教委が答申と違う判断をした場合の)セーフティーとしてぜひ残して欲しい」と主張し、規約に入れられたということです。

条文の規定にかなり解釈の幅があることは間違いありませんが、少なくとも、採択時の議事録を読めば、当事者たちも(1)協議会はあくまで教委に対する答申を行う機関であること、(2)最終的な決定は各教委が行うべきものであること、(3)答申と教委の決定が異なる時には、再協議して(協議を続けて)決着すべきであること、を認識していたと考えられます。

つまり、平成23年8月以来、現在まで続いている状況は「3教委による協議が整っていない(=同一の教科書の採択に至っていない)」状況であって、引き続き協議を行って同一の教科書の採択を行う義務は、石垣市、竹富町、与那国町の3教委が等しく負っていると考えるべきなのです。

そう考えると、国(=文科省)が出来ること(すべきこと)は、教科書無償法に基づいて、3教委に対して等しく、協議を続けて結論を出す努力を促すことであり、それ以上であってはいけないわけです。だからこそ、今回、文科省が竹富町教委にのみ行政指導を行ったことは、私たちから見ればそれこそ法律違反で、不当な国の介入だと言うべき話なのです。

一刻も早く教科書無償法の正しい改正を

そしてもう一つ、国がやるべきは、早く教科書無償法を正しく改正して、市町村教委がもつ教科書の選定決定権が、教科書無償法の下でもきちんと尊重されるよう担保することです。この点については、今国会で政府が法改正を用意しており、教科書選定地区の設定を、これまでの郡単位から市町村単位に変更するなど評価出来る内容も含まれていますが、一方で、共同採択地区は残されていて、その決定方法について法律上の縛りをかけるなど、本来の趣旨とは異なる方向での改正も含まれています。

私たちは、引き続き、八重山教科書採択問題に対する政府の姿勢を正すとともに、正しい教科書無償法改正が行われるよう、取り組んで行きたいと思います。

 

初!本会議傍聴(インターンだより)

インターンの淺田です。

最近は様々な会議や委員会を傍聴しています。

その中でも参議院本会議の傍聴は、総務大臣への地方交付税交付金などの質疑が行われており、「今、ここで政治が動かされている瞬間に立ち会っているのだ」と思え、感動を覚えました。

インターン活動も半分を過ぎて色々慣れてきましたが、初心を忘れずに残りの活動時間を過ごしたいと思っています。

 

参議院文科委員会で質問に立ちました

今日(3月13日)の参議院文教科学委員会で、同僚の斉藤嘉隆議員と共に民主党を代表して質問に立ちました。

今日の質疑は、今週火曜日に行われた下村文部科学大臣の所信演説に関する一般質疑。私が取り上げたテーマは、以下の3点でした:

  1. 公立高校授業料の無償化廃止と就学支援金の所得制限導入によって生み出された財源の使途について(特に、奨学のための給付金の減額について)
  2. 教育におけるICTの利活用促進について(特に、デジタル教科書の正規化に向けての具体的検討と、教員のICT教育スキル向上に向けた具体的方策)
  3. 義務教育学校における教科書選定のあるべき姿と沖縄県・八重山採択地区の教科書採択問題について

このうち、1と2については、どちらかと言えば文部科学省の取り組みを応援して、今後のさらなる奮闘を要請する内容だったのですが、3については、現政権の方針の問題点を追及し、あるべき姿を問い質す内容でした。

なので、つい力が入ってしまい、最後は時間が来ているのも忘れて質疑を続けようとして、委員長に止められる始末。いや、常に冷静でないといけません・・・。

とは言え、現政権が教育における政治や国の介入度合いを強めようとしている中で、教科書選定のあり方問題はとっても大切な議論。残念ながら中途半場に終わってしまったので、この続きはまと次の質問の機会にきっちりと続けたいと思います。

【お知らせ】13日(木)13:00〜文教科学委員会で質問にたちます(事務所だより)

石橋議員が明日の参議院文教科学委員会で質問にたつことが決まりました!

日時:3月13日(木)
10:00〜16:00 文教科学委員会(休憩12:05〜13:00)
13:00〜13:45 石橋議員の質問持ち時間 45分

内容:「2020教育ICT化ビジョンの達成に向けた方策等に関して」
委員会での質疑の模様は参議院インターネット審議中継で御覧になれます。↓

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

(※これまでの委員会質疑も、こちらで見ることができます。)

みなさま、応援よろしくお願いいたします。

東日本大震災発災から3年目

今日、3月11日、東日本大震災から3年目を迎えました。

きっと、3年前の今日、午後2時46分に、自分がどこで何をしていたか、皆さん鮮明に覚えておられることでしょうね。私も、まるで昨日のことのように思い出すことができます。そして、その後に起こった出来事を、テレビの前に立ちすくんでただ呆然と見つめていた自分の姿や、慌てふためいて国会に辿りついて、さあこれから何をすればいいのかと自問自答していた姿も・・・。

あの日から、自分なりに、被災地の復旧と復興に力を注いできたつもりです。そして政治も、その時々にやるべきことを、懸命に努力して頑張ってきたと思っています。

しかし、復興が思い通りに進んできたかと言えば、残念ながらまだまだ進捗状況は厳しいと言わざるを得ません。今なお、多くの被災者の方々が避難生活を余儀なくされている現状、多くの皆さんが時間の経過と共に故郷に帰り住むことを断念しつつある実状、そして、厳しい避難生活の中で命を落としておられる方々が増えてきている現実・・・。

ゆっくりした歩みながらも、一歩、一歩、復興の取り組みは着実に前に進んでいると信じていますが、それでも、今日あらためて3年間の歩みを振り返った時に、その進んできた距離の短さ、歩みの遅さに悔しい思いを感じているのは私だけではないはずです。そして、被災地の復興が最優先と言いながら、一方でその歩みをさらに停滞させてしまうような政策がとられていることに怒りを覚えているのも、私だけではないと思います。

私たちは、今一度、あの未曾有の大災害が一瞬にして多くの人々の命を奪い、生活を破壊し、人生を変えてしまったことを思い起こし、そしてまた、このような自然災害がいつ何時、自分自身を襲うかも知れないことを認識して、みんなで力と心を合わせて、被災地の復興と、被災された方々の生活再建に力を注いでいく決意を新たにしなければいけません。

今日、3年目のこの日に、自分自身でそのことを再確認し、またこれから皆さんと一緒に復興に取り組んでいきます。

厚生労働省「短期集中特別訓練事業」の入札不正疑惑について

突然、テレビ朝日の「報道ステーション」に、私の参議院予算委員会での質疑の様子が出てきて驚いた方もおられるのではないでしょうか? いや、私もああいう形で取り上げられるとは思わなかったので、何だか戸惑うやらこっぱずかしいやら・・・。

いや、しかし取り上げた問題は、予算事業のあり方(=皆さんの税金の使われ方)に関わる重大な問題です。だからこそ、新聞やテレビで報道されたのですね。

ということで、以下、テレビをご覧になれなかった方々のために少しだけ解説します。

3月6日(木)の参議院予算委員会で私が取り上げたテーマの中に、「一般会計における失業者・求職者支援対策について」というのがありました。その中で、平成25年度補正予算案の中で政府が実施を決定した「短期集中特別訓練事業」の入札不正疑惑を取り上げたのですね。

これ、非正規労働者などを対象に導入編的な職業訓練を行う事業で、2月18日にその事業を請け負う委託先の公募が開始になって、午前10時に一旦、正式な公募が厚生労働省のホームページに掲載されたのです。ところが、その約1時間後に、突然、削除されてしまいました。

そして、翌日、再びホームページに掲載されたのですが、なんと、公募の要件(入札条件)が変更になっていたのですね。で、何が変わっていたかというと、「全省庁統一資格」という資格(=全ての省庁の競争入札に参加できる資格)が削られていたのです。

事業は、厚生労働省が所管している独立行政法人「高齢・障害・求職者雇用支援機構」が請け負うことが決まっていましたが、厚生労働省は「いったん公示したあとで参加の条件を変更したのは不適切だった」として、募集をやり直すことを決めました。
事業を請け負うことが決まっていた法人は「全省庁統一資格」を持っておらず、田村厚生労働大臣は、募集を公示したあとにこの法人から厚生労働省に電話があったことを明らかにし、応募条件を変更したいきさつについて調べる方針を示しています。
田村厚生労働大臣は、参議院予算委員会で、「どういう経緯で変わったのか、これから調べないとならないが、たとえ1時間であろうが何時間であろうが、1回、条件を示したものが、途中で変わって、それによって入札が行われるのは許されることではない。最初の要件でやり直させてもらう」と述べ、入札をやり直す考えを示しました。