3月24日(木)午前に、前日に引き続き、厚生労働委員会で下記の項目について、石橋議員は塩崎厚生労働大臣に対して50分間質問を行いました。
1)雇用保険基本手当の給付水準(所定給付日数及び給付率)引上げの必要性について
雇用保険基本手当の所定給付日数や給付率については、2000年(平成12年)と2003年(平成15年)の法改正で、当時、雇用保険財政が厳しくなったことに伴う措置として引き下げが行われました。 積立金が6兆円以上に積み上がっていることを考えれば、今、十分に元に戻せる状況のはずで、戻せないのは、国庫負担が増えてしまうことを財務省が嫌がる、だから戻せない、そういうことじゃないのかと質しましたが、2018年度末までに総合的に勘案して結論を出していきたいという官僚の用意した答弁を繰り返すのみでした。
2)所定労働時間未満の仕事を複数掛け持つ「マルチジョブホルダー」に対する雇用保険の適用について
現状、雇用保険の適用除外となっている雇用労働者のうち、週労働時間が15時間以上20時間未満の労働者が180万人にのぼることを明らかにしたうえで、週20時間で線を引いていることの妥当性について、雇用の安心を確保する観点から、週20時間要件の引き下げまたは撤廃を考えるべきではないか質しました。
また、特にシングルマザーやシングルファーザーで、マルチジョブで何とか生活を支えている家庭も多数存在することなどを考えれば、マルチジョブホルダーにも雇用保険を適用すべきではないかと大臣に迫りましたが、いずれもこれからしっかりと検討していきたいという答弁しか得られませんでした。
3)非正規(有期雇用)労働者の65歳まで(年金支給開始年齢まで)の雇用継続確保策について
今回、65歳超えの就労者の雇用保険適用が提案されていて、これについて否定するものではないが、政策の優先順位としては、本来、全ての高齢者について、雇用と年金との接続を図ること、つまり、早期に65歳までの雇用継続を確保することではないかと質問をしました。これに対しては、できる限り安定した雇用で働き続けるということが安心をしながら生きるということにつながるので、できるだけ国としても支援していきたいとの答弁でした。
4)労働移動支援助成金の問題点について
まず、政策効果の検証について、政府は、この助成金は「成熟産業から成長産業への円滑な労働移動のため」と説明してきた。塩崎大臣も、先日の津田委員の質問に対して、「付加価値の低いところから高いところに移動することを応援する」制度と答弁している。では、300億円もの国民の税金を増額して、この2年間の実績、政策目的の検証結果はどうなっているのか、きちんとしたデータをこの委員会に提出することを厚生労働省に対して求めました。
そのうえで、2年前すでに、再就職支援助成金が、再就職が実現しなくても委託時に10万円が支払われてしまうことの問題点をこの委員会で指摘していたが、今回の王子の一件をみてもやはり、再就職が実現した場合にのみ、そしてその再就職が、まさに制度の本来目的である付加価値の高いところへの移動だった場合にのみ、助成金を支給するようにすべきではないかと質しました。
さらに、助成金の対象に大企業が含まれることも当時問題視したが、結果は、中小企業より大企業の方がこの制度を活用している実態が数字としてしっかり出てきており、少なくとも 大企業は対象からはずすべきではないか、ともに大臣に厳しく迫りましたが、大臣からは大企業についての是非も含め、もう一回全部見直せということを事務方に指示を出したとの答弁でした。この問題だらけの助成金制度の廃止に向けて、これからも石橋議員はこの問題を追及していきます。
5)介護休業の法定日数(93日間)及び分割取得制度のあり方と、施設入所確保までの特例延長の必要性について
最後に、介護休業の法定日数について、介護離職ゼロをめざすのであれば、現行93日間の大幅延長を図るべきだったと思うが、なぜ延長しなかったのか、大臣に質しましたが、労政審で御議論をいただいた結果、事業主の雇用管理の負担、これも考慮に入れて、今回の改正案では、法律上の最低基準としての通算九十三日は変えずに分割の回数を三回までというふうにしたとの答弁で、大臣のリーダーシップが感じられない残念な答弁で終わりました。 (報告者:田中秘書)