11月13日(金)午前に、民主党 厚生労働部門会議が開催されました。本日の議題は、主に福島原発で働く作業員の労災認定の問題が取り上げられました。
最初に、原発がれき処理によりがんに罹り、労災認定で却下された元従業員の訴訟代理人をつとめる、たかさき法律事務所の高橋 暢 弁護士より、被災者の被災状況やがんの発症時期、作業内容や作業時の服装、労災手続き等詳細な説明をして頂きました。
現在のがんの労災認定基準は、「累積の被曝線量が100ミリシーベルト以上で、最初の被曝から発症までの期間が5年以上」となっていて、専門家から構成された検討会が総合的に判断することになっています。今回の被災者は、確認できている被曝線量が56.41ミリシーベルトで、発症が最短で約11か月、最長で約1年10か月ということで、労災認定されませんでした。
しかし、線量計をはずした屋外作業が複数回あったこと、内部被曝線量は把握されていないこと。たった4か月で通常時の原発作業員の年間法定限度の50ミリシーベルトを超えていることなどを考慮すれば、たとえ基準に満たなくても、労働者の補償・救済の観点に立って、厚生労働省は積極的に労災認定する方向で検討すべきではないかとの指摘に議員一同深く賛同していました。
現在の基準は、福島原発事故前の1990年に国際放射線防護委員会(ICRP)が「5年間で100ミリシーベルト被曝すると生涯のがん死亡リスクが約0.5%増える」との勧告を公表したことを受けて厚生労働省が定めたもので、福島原発事故後の過酷な労働環境を踏まえたものではありません。それを基準に運用している実態に対して出席議員から疑問が相次いで出されました。
福島第一原発では、現在1日約7千人が働いていて、廃炉作業はこれから数十年間続くことになります。「原発作業員の健康管理を事業者任せにするのではなく国がしっかり管理すべき」だと、事故直後から石橋議員ほか民主党の有志のメンバーが政府に粘り強く働きかけた結果、現在 厚生労働省には電離放射線労働者健康対策室がおかれています。これからもこの問題に石橋議員は積極的に関わって改善を政府に対して求めていきます。 (報告者 田中秘書)