4月14日(火)、先週に引き続き参議院の厚生労働委員会で、民主党会派を代表して50分間の質疑に立ちました。
この日は、厚生労働行政に関わる一般質疑。要は、何を質問してもOKです。そこで、私が取り上げた課題は以下の通りでした:
1.医療現場における勤務医や看護師の過重労働問題とその対策について
まず、もうずっと前から問題が指摘をされている医療現場での勤務医や看護師の過重労働問題について、塩崎厚生労働大臣の現状認識と、具体的対応について質問しました。塩崎大臣も「勤務医や看護師の過重労働問題については深刻な状況があると認識している」と認識を共有してくれたのですが、しかし「では厚生労働省として実態調査を行っているのか?」と問うと、「していない」との答弁。これじゃダメです。まず、きちんと実態調査を行い、その上で適切な対応を行うよう求めました。
次に、病院等医療機関における産業医の選任について、病院長が産業医になっている実態があることについて塩崎大臣に見解を質しました。過重労働が蔓延する病院では、病院の経営者や管理者側が、勤務医や看護師に過重労働を強いている現実があることを考えれば、その管理者側の代表たる病院長が、産業医となって従業員たる勤務医や看護師と面談し、健康管理・指導をすることなど到底、適切とは言えません。
大臣には、通達でもいいから、病院管理者が産業医に就くことを原則、禁じるように指導することを提案しましたが、明確な答弁は返ってきませんでした。ただ、対応を検討してみたいとのことでしたので、今後またフォローしていきます。
さらに、看護師の夜勤回数や連続勤務時間に関する規制についても確認したのですが、なんと、現行法令では規制はないと。人の命を守る医療の現場で、過剰な夜勤や連続勤務が蔓延している実態があるわけで、早急に実態を調査した上で、法改正を検討するなり、当面、通達などで夜勤回数の抑制を指導するなりしてはどうか?と提案しました。こちらも明確な約束はありませんでしたが、実態調査は検討してみたいとのことでしたので、今後の対応をモニターしていきたいと思います。
2.外国人技能実習制度の適正化と拡充について
今回、政府は、外国人技能実習制度の「適正化策」と「拡充策」をセットにした法案を国会に提出してきました。しかし私たちは、諸外国や国際機関からも批判の的となっている技能実習制度を、根本的改革なしにパッチワーク的な改善だけを行い、なし崩し的に対象職種や研修期間の拡大を行うことは決して許容できないという立場です。
今回の法案は「適正化策」と「拡充策」をセットにして提案しているため、まず塩崎大臣に、「適正化策を実行し、その効果と問題の解消を確認してからでなければ、拡充策を実行するべきではないのではないか?」と問いただしたのですが、塩崎大臣、どうしても私の日本語が理解出来なかったようで(苦笑)、結局、明確な答弁は得られませんでした。が、適正化を段階的に実行しながらも、拡充策はすぐにでも実施していくようなニュアンスの答弁がありましたから、それが政府の本音だと思います。
さらに、現行制度の最大の問題の一つは、送り出し国側の送り出し機関に対して実効性ある対応が出来ず、悪質な民間ブローカー等が排除できない構造的な問題なのではないかと、入管行政を所管する法務省の葉梨法務副大臣に見解を質しました。その上で、国際研修協力機構(JITCO)は、送り出し国側の政府機関と定期協議を行って課題の解決を図るとされているが、主要国でも定期協議がほとんど実施されていない問題を指摘。二国間協定の締結が適正化に向けて大変重要であり、それなくして拡充はありないことを強く求めました。
本当は、これに加えて、新設される外国人技能実習機構(仮称)にどこまで実効性ある調査権限が付与されるのかという問題と、介護に従事する外国人の受け入れについて新たに在留資格を設ける問題についても質問を用意していたのですが、塩崎厚労大臣との「会話」に時間を使い過ぎてしまい、ここで最後の質問に移らざるを得なくなってしまいました。残念・・・。
3.労働基準法改正案の労働時間規制の緩和について
最後に、今度提出された労働基準法改正案の高度プロフェッショナル労働制 −−− われわれが「定額働かせ放題制度」「過労死促進制度」「残業代ゼロ制度」と呼んでいる「ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制の適用除外制度)」ですが、これについて、一点だけ、大切な問題の確認を行いました。
安倍総理も塩崎厚労大臣も、そしてこの法案の閣議決定を伝えた大手メディアのほとんども、今回のこの新たな制度を「時間ではなく、成果で報酬が支払われるようになる制度」と国民に伝えています。では「法案のどこに、成果で報酬が支払われることが規定されているのか?」と塩崎大臣に確認したわけです。最初はモゴモゴ言っていましたが、最後に「条文には書いてありません」と認めました。そう、書いてないんです、どこにも・・・(苦笑)。つまり、この法案がめざすのは「成果で支払われる制度」なんかではなく、「労働時間や休憩・休日規制から除外される労働者を創り出す制度」なのです。
塩崎大臣には、「メディアにあらためて報道が間違っていることをしっかり言うべき」と求めて、質問を終わりました。
50分の質問時間でしたが、あっという間でしたね。でもまた質問に立ちます。次は、4月16日(木曜日)です!