6月18日(水)に、民主党「外国人の受け入れと多文化共生社会のあり方を考える議員連盟」の第6回総会を開催しました。今回は、現在、政府が検討を進めている外国人労働者受け入れ拡大措置の最新動向について、内閣府と内閣官房の担当者からヒアリングして、その中身を確認する作業が主な内容でした。

まず内閣府から、6月13日の政府「経済財政諮問会議」の資料を元に説明を受けましたが、最初に強く強調したのは「外国人材の活用は移民政策ではない」というフレーズ。これには我々一同、思わず失笑。なぜなら、①優秀な研究者などが活躍しやすい環境の整備、②技能実習制度に関し、国の関与の強化により適正化を図ること、③女性の外国人材の活用の検討を進めるなどの具体的施策を進めていく計画なわけですが、「優秀な人材が日本に留まって力を発揮してくれるように取り組む」と言っておきながら、それは移民政策とは関係ないというのは全く論理矛盾になってしまうからです。

続いて、内閣官房からは、6月16日の産業競争力会議の中で行われた外国人人材の活用議論について説明があり、①建設業に加え、造船業の分野でも外国人労働者の受け入れを検討していること、②外国人技能実習制度については、監理体制の強化、対象業種の拡大、実習期間の延長、受け入れ枠の拡大等が検討されていること、③女性の外国人労働者の家事業務、介護分野への活用の検討がされていること、等の説明がありました。内閣官房からの説明の中でも「この政策は移民政策と誤解をされないように配慮する」ことの説明があったことを付言しておきます。

参加いただいた議員の皆さんからは、各項目で具体的に突っ込んだ質問が次々と出されました。なにせ、ツッコミどころが満載だったので・・・。しかし、質問対応で参加してくれていた各省庁の担当者からは、「現在検討中で、詳細はこれから」との回答ばかり。まあ案の定ですが、「外国人労働者の受け入れを拡大する」という出口を決めたものの、ではどういう道筋でそれを実施するのか、具体的なことは何も決まっていないことを確認したわけです。

ということで、ヒアリング終了後、議連として今後の検討課題と方向性について議論を行いましたが、やはり「実習制度のなし崩し的拡大で、実質的な外国人労働者の受入を拡大していくことは許されない」という意見が大勢でした。しかし、「外国人労働者も正式に労働者として働いてもらえるような雇用制度の導入が必要である」という意見や、「併せて、日本としての移民政策を論議する必要がある」等の意見が出された一方で、「単純労働者の受入は、日本人労働者の雇用に影響を与えたり、労働条件を低位に固定化してしまう恐れなどもあり、慎重に考えるべき」という意見も出されました。

最後に中川正春会長から、外国人技能実習制度の適正化についての検討素案が提起され、今後、この検討素案をベースに論議を深めていくことを確認しました。また、技能実習制度に関する国内視察の実施、さらには韓国の外国人労働者雇用許可制度を勉強するために韓国への視察派遣を検討することを確認して、総会を終えました。

とにかく現政権は、なし崩し的に外国人労働者の拡大を進めようとしていますが、人権侵害として国際的な批判の強い実習制度の拡大は容認できません。まずは、実習制度を抜本的に改正して、本来の国際貢献と人材育成に特化させるべきですし、生活環境を保障するためにも多文化共生社会の構築に向けた議論を進めていくべきです。議連としても、今後、具体的な政策提言を準備していきます。