今日、10月12日(日曜日)の午後、都内で開催された国際シンポジウム「グローバル連帯税が世界を変える!~環境危機、貧困・格差、カジノ経済への処方箋~」に参加してきました。 このシンポジウムは、数多くのNGOグループの皆さんが参加している国際連帯税フォーラムが主催したイベントですが、私が事務局長を務めている超党派議員による「国際連帯税の創設を求める議員連盟」も後援させていただいたので、今日は議連を代表しての参加でした。ということで、シンポジウムの開会にあたり、議員連盟を代表してひと言、ご挨拶もさせていただき、議連としての今後の取り組みなどについてご紹介させていただきました。 実は、今日のこのシンポジウムは、『第2次寺島委員会のスタートを飾る記念イベント』という特別な位置づけがありました。今年に入ってからも、議連と国際連帯税フォーラムの皆さんとの間で、国際連帯税の導入をめざしていく上での諸課題について色々と意見交換する中で、(1)国際連帯税の必要性についてもっと国民的な理解と支援を高めていく必要があること、(2)そのためには、国際連帯税の目的や効果について、実証的な裏付けのある(=説得力のある)形で内外に発信していく必要があること、などを確認してきました。その結果、2009年から2010年に、寺島実郎先生を座長として議論を重ね、政策提言をまとめていただいた「国際連帯税推進協議会」、通称・寺島委員会を再度、立ち上げようということになり、寺島先生に再び座長へのご就任を要請申し上げたところ、快くお引き受けいただき、今日のキックオフ・シンポジウムにつながったというわけです。 今日は、その寺島さんにも基調講演をいただいて、「今なぜ国際連帯税の導入が必要なのか、そのためになぜ第2次寺島委員会なのか?」という本質的な点についてお話しをいただきました。具体的には、「3つの要因がある」として、1つは「問題が一層深刻化していること」、2つは「残念ながら未だに国民的な関心が薄いこと」、3つは「国際連帯税導入の可能性が高まっていること」について解説して下さいました。特に、1点目については、この間、エンロンショックやリーマンショックなど、世界各地でマネーゲームを展開し、バブルの発生とその崩壊を引き起こしてきた金融資本主義、いわゆるカジノ経済が、再び、アメリカをはじめとする各地の金融市場に舞い戻ってきていて、それが第2のリーマンショックを引き起こそうとしていることや、日本もアベノミクスでどっぷりとその危険性にはまりつつことに強い懸念を表明されました。 そして、国際連帯税の導入は「(このような)国境を越える地球規模課題への責任を私たちみんなで共有することだ」として、「資本主義の問題は、資本主義を正すことで解決しなければならない」と、第2次寺島委員会への抱負も込めて強く訴えて戴きました。第2次寺島委員会は、11月に第1回会合を開催し、その後、継続的に議論を重ねて、来年のしかるべき時期には提言をとりまとめていく予定です。ちなみに、私も議連を代表して、第2次寺島委員会のメンバーに入っておりますので、今後、委員の1人としてしっかり議論に臨んでいきます。 なお、国際連帯税(グローバルタックス)についてFacebookでもご質問をいただいたので、簡単に解説をしておきますね。 まず国際連帯税という呼称は、総称であって、具体的にはさまざまな税目があり、導入している国々でもその中身には違いがあります。例えば、航空券連帯税や船舶旅行税、金融取引税や通貨取引税などですね。ただいずれも、国境を越えたお金や人やサービスの動きに広くごく薄く税をかけて、その税収を、貧困や飢餓の撲滅、感染症や気候変動問題への対応、カジノ経済や短期的投機資金の抑制など、国境を越えるグローバルな諸課題(地球規模課題)への国際的な対処に利用しようというものです。 「グローバル化」というと、よく「人、モノ、カネが国境を越えて自由に動き回ること」と説明されますが、実際はそれだけではなく、貧困や飢餓、感染症や環境汚染、犯罪やブラックマネーなども国境を越えて動き、世界の人々に影響を及ぼしていることも忘れてはいけませんね。 ちなみに、日本でどのような国際連帯税を導入すべきかは、まだこれからの議論です。しかし、検討するにあたっては、やはり、すでに海外で導入され、実績を上げている税、航空券連帯税や金融取引税などを中心に議論していくことになると思います。 なお、ご存じの方もおられると思いますが、その中で「金融取引税」というのは、いわゆる「トービン税」の流れを汲むもので、投機的な短期資金の売り買い、特に市場を混乱させるヘッジファンドなどの高頻度取引を抑制することを目的に、金融取引にごくごく低額の税をかけようというものです。すでに欧州では、フランスなどが単独で導入していますし、今、EUの先行11ヶ国で、2016年1月からの導入に向けた具体的な制度設計論議がスタートしています。 今日のシンポジウムでも話に出たのですが、今や、実態経済(世界各国のGDPを足し合わせた金額)の4倍以上にも及ぶ巨額の投機資金が世界を駆け巡り、あちらこちらでバブルを引き起こし、そして崩壊させています。そこから得た利益を受けるのはごく一部のお金持ちたちですが、崩壊した時に被害を被るのは一般国民であり、労働者であり、真面目に頑張っている企業や金融機関です。金融取引税は、実体経済を支えてくれている通常の金融機関にはほとんど影響は与えません(税額がごくごく小さいので)し、むしろ、真面目にがんばってくれている通常の金融業界の皆さんにとっては、市場を混乱させる巨額の投機資金の動きを抑制するメカニズムの検討は歓迎していただけるのではないかと思いますが、いかがでしょうか? 実は、このような短期的投機資金の抑制を目的とした金融取引税の導入が可能になったのは、ICTの発達に負うところが大きいのです。一方で、投機的短期資金が世界を駆け巡るようになったのも、ICTの発達(と規制緩和と金融工学の発達)に負うところが大きいので、今後は、ICTによって、金融市場をより実体経済のため、国民生活のために健全に発展させていく(本来の役割と機能を取り戻していく)という議論を、われわれ政治の役割としてしっかりしていくべきではないかと考えています。 ぜひ、皆さんのご意見をお聞かせ下さい!