本日、9月29日(月)、第187回臨時国会が開会しました。会期は63日間。11月30日までの予定です。
会期の長さについては色々と評価があろうかと思います。しかし、現下の国民生活の情勢を考えれば、「開会が遅すぎるし、会期が短すぎる」と断ぜざるを得ないと思います。通常国会が閉会したのが6月22日(実際は6月20日)。つまり、100日間も閉会していたわけです。この間、7月1日の暴挙とも言える閣議決定による集団的自衛権の行使容認、広島を初めとする豪雨災害や台風被害、消費税引き上げ以降の急激な景気悪化と実質賃金の低下、そして国際情勢の動きなどなど — 国会で審議を行うべき課題が山積しており、私たちはもっと早く臨時国会を開会すべきと与党に要請をかけていました。
しかし結局、安倍総理は、外遊の連発のせいか、国会開会をここまで遅らせ、そして開けたと思ったらなんと、11月末には国会を閉じてしまうというのです。会期63日間とは言え、休日などを除けば実質的には40日間ぐらいしか審議時間はありません。それだけの短期間のうちに、地方創生や女性の活躍に関する法案に加え、最大の対決法案になるであろう労働者派遣法改正案を審議しようというのですから、これまた国会軽視、国民生活軽視としか言いようがありません。
政府は、先の通常国会で廃案になった労働者派遣法改正案をほぼ同じ内容で再提出しました。今国会中に、何が何でも成立させる方向で、強引に審議日程を仕掛けてくると思われます。すでにご存じの通り、改正案は、企業が特定の業務を永久に派遣労働者で代替し続けることを可能にするもので、労働者の側から見れば、頑張って正社員になることを望んでも、一生、派遣労働から抜け出すことが出来ない状態に陥ってしまう危険性を高めてしまう改正です。それを、形だけの審議で成立させてしまうことは断固、許すことは出来ません。
今日、第187臨時国会の開会にあたっての安倍総理の所信表明演説がありましたが、なんと、労働者派遣法に関する言及はひと言もありませんでした。雇用に関して言及したのは、唯一、以下のフレーズだけです:
「……大胆な規制改革なくして、成長戦略の成功はありません。農業・雇用・医療・エネルギーなど、岩盤のように固い規制に、これからも果敢に挑戦してまいります。」
これだけです。雇用の現状をどう考えるのか、何が課題で、それをどうすべきだと考えるから派遣法改正案を再提出するのかなど、本来所信表明で明快に説明すべきことを完全にスルーしたのです。説明出来ないのでしょうね。
労働者の暮らしの現状についても、まったく現実を認めようとしていません。安倍総理はこう述べたのです:
「有効求人倍率は、二十二年ぶりの高水準となり、就業地別では、三十五の都府県で、仕事の数が求職者の数を上回っています。この春、多くの企業で、賃金がアップしました。連合の調査で、平均二%を超える賃上げは過去十五年間で最高です。中小企業・小規模事業者でも、一万社余りの調査において、六十五%で賃上げが実施されています。」
これは事実ですが、労働者が置かれた現実を正確に把握したものではありません。まず、有効求人倍率は上がってきていますが、その中心は非正規雇用であり、かつ、一部の著しく有効求人倍率が高くなっている業種・職種(建設現場の技術者など)に平均が引き上げられているに過ぎません。また、賃上げが実施されたのは事実ですが、労働者の実質賃金は13ヶ月連続でマイナスで、6月にはマイナス3.7%を記録するまでに悪化しています。
これが一時的な現象なのかどうか、今後の推移を見極めなければなりませんが、少なくとも安倍総理は、自分に都合のいい数次を並べ立てて自画自賛するのではなく、労働者や生活者が置かれた実態を真摯に分析し、その対策を講じるために必要な措置を講じるべきなのです。いいことばかりを言えば、政策を誤り、結果、ますます労働者の生活を悪くしてしまいます。労働者保護ルールの改悪などは、その最たるもので、まったく真逆の政策だと言わざるを得ません。
すでに労働政策審議会では、安倍政権が成長戦略第二弾(日本再興戦略第二弾)で示した「新たな労働時間ルール」なるものの議論が始まっています。労働時間と成果のリンクを切り、完全成果主義を実現しようとするものということですが、今の労働時間規制のあり方を根本的に見直さないままにそんなことをすれば、労働時間がまさに青天井になり、「過労死促進法」にもなりかねません。
私たちは、この臨時国会から来年の通常国会にかけて、労働者の安心と安定を守るための「労働国会」と位置づけ、断固、労働者保護ルールの改悪に対峙していくため、闘っていく覚悟です。皆さん、応援、ぜひ宜しくお願いします!
【今期の所属委員会】
・厚生労働委員会、決算委員会(理事)、ODA特別委員会、憲法調査会
【民主党の役職】
・参議院民主党 政策審議会 副会長
・党政策調査会 副会長
・党政策調査会 厚生労働部門コアメンバー(労働・雇用問題担当)
・党総務委員会・国政局 国際局副局長(予定)
・党広報委員会 広報委員長代理(予定)