1214日、石橋議員は日韓議連で韓国に出張中でしたが、午前と午後に労働政策審議会の二つの分科会が開催され、石橋事務所を代表して傍聴をしてきました。それぞれ非常に重要な意味合いを有するものですので、その概要等を報告いたします。(かなり長くなってしまい申し訳ありません。)

 

①第13回 労働政策審議会雇用環境・均等分科会(写真)

 本日の分科会で「女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方について」と題する報告書が取りまとめられました。

 その主な内容は、パワーハラスメント対策の来年通常国会における法制化と、女性活躍推進法における義務拡大(現行301人以上⇒101人以上の企業)であり、どちらも大きな意義があるのですが、ここでは前者について、特記したいと思います。 

 パワハラ対策の法制化については、2016年秋から石橋議員のリーダーシップのもと、事務所として検討を開始し、同年の12月に参議院法制局との最初の協議を行い、その後、多くの方々のアドバイスも頂戴しながら、最終的に今年の427日に当時の民進党と希望の党の両党で、参議院に議員立法「パワハラ規制法案」を共同提出することができました。 

 この法案については、参議院厚生労働委員会における質疑も複数回行われ、最終的には与党の反対によって法案は否決されたものの、パワハラ対策の法制化を求める社会的機運の醸成に一定程度貢献することができたのではないかと考えています。

 今回労政審の分科会で取りまとめられた内容は、労働側委員が強く求めたハラスメント対策の「禁止規定」こそ見送られることとなりましたが、「許されない」ものであることが明記されると共に、事業主への措置義務を中心に、議員立法とも数多くの共通点を持つものとなっています。

 ただし、形式的には、通常国会に提出した議員立法は、法案の「現実性」と「実効性」の両面から「労働安全衛生法」の一部改正にしていましたが、今回の取りまとめでは、「労働施策総合推進法」の一部改正を念頭に置いているそうです。この「労働施策総合推進法」は旧来の「雇用対策法」であり、働き方改革関連法の中で、その性格を一部見直され、不十分ながらも労働基本法的な性格を持つようになりました。その意味で、パワーハラスメント対策が入り込むことはあり得るものの、労働安全衛生法ならばストレートに可能となる実効性の担保措置が抜け落ちてしまう懸念もあり、年明けに分科会に示される法律案要綱をしっかりとウオッチする必要があるものと考えています。   

 いずれにしても、労働現場における深刻なパワハラ被害への歯止めとして、政府によって法案が提出されることが確定的となったことは、一歩前進であるものと受け止めており、分科会の公労使三者委員と厚生労働省の事務方のご努力に深く敬意を表します。 

 また、分科会に議論が移される前段で、厚労省内に設置された「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」の各委員にも感謝申し上げます。(とりわけ法制化の流れを作った野川忍明治大学教授の役割は大きかったのではないかと思います。) 

 

②第150回 労働政策審議会労働条件分科会

 記念すべき「第150回」の分科会の議題は、「労働基準法施行規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱」等について(諮問)というものであり、簡単に言うと、高プロ(高度プロフェッショナル制度)の省令と指針の議論です。今日の段階では答申は行われていないものの、実質的な議論はかなり終着駅に近づいたものと受け止めています。 

 言うまでもなく「高プロ」は、今年の通常国会における「働き方改革関連法案(政府提出)」に盛り込まれていたものであり、データ偽装問題の発覚を受けて法案から削除された「裁量労働制の拡大」同様に、立法事実が存在しておらず、労働者の命と健康を脅かす恐れがあることから、多くの野党が法案成立に強く反対したところです。 

 残念ながら629日の参議院本会議で法案自体は可決成立しましたが、実は労働法制については、法案の国会での成立後にも、「第二の闘い」が労働政策審議会で繰り広げられることになり、三年前の派遣法改正の際もそうだったのですが、国会の附帯決議や政府答弁を材料に、法案中の問題ある条文に事実上の歯止めをかけることも可能になるのです。 

 1015日の第147回分科会以降の「高プロ」を巡る議論においても、労働側委員が粘り強く、そうした努力を行い、公益委員や厚労省の事務方も、一定程度、受け止めてくれたのではないかと考えています。(この日も、情報労連の柴田書記長が、真に使用者に対して強い交渉力を持つことが可能なのかという観点で、最後まで年収要件の問題で必死の努力をしていました。) 

 また、使用者委員も、「高プロ」という、これまでの労働時間規制の根幹部分に穴をあける「革命的制度」については、先ずは誕生させることを最優先させたことから、一連の議論の中で労働側の懸念点に敢えて異議を唱える場面は少なかったように思います。(ちなみに、「革命的制度」とぃう言葉は、この日の分科会で公益委員の一人が用いた言葉です。)。 

 いよいよ来年4月1日の法案の施行日が近づいてきましたが、通常の労働時間規制でさえ労働者を守ることが難しくなっている今日、「高プロ」が不適切に運用されることのないよう、厚生労働省にはやれることをすべてやっていただくよう、お願いをいたします。(私たちも、しっかりとウオッチいたします。) 

 また、職場で「高プロ」の適用労働者が孤立することのないよう、労使の万全の配慮が求められており、とりわけ労働組合の責任も大きくなるものと思っています。 (報告者:渡辺秘書)

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