7月9日(木)の夕刻、国会内で、NGOグループの皆さんが中心となって「モザンビーク・プロサバンナ事業に関する緊急院内集会が開催されました。私も、呼びかけ人の一人として名前を連ねて側面支援をさせていただき、短時間ではありましたが、直接顔を出してご挨拶もさせていただきました。

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今回の緊急集会は、プロサバンナ事業の進め方に異を唱えているモザンビーク農民諸団体の代表3名の方々が緊急来日された機会を捉えて開催されたもの。「なぜ、現地農民は異議を唱えるのか?」と題して、お三方からそれぞれプロサバンナ事業の問題点、特に、これまでの事業の進め方や日本政府・JICAの対応姿勢の問題点について、ご報告をいただきました。

私も、このブログでもご紹介してきましたが、2013年3月に参議院のODA調査団の一員としてモザンビークの視察に参加した際にこのプロサバンナ問題の存在を知って以来、NGOグループの皆さんから継続的に現地報告をいただきながら、外務省やJICAの担当者ともやり取りし、国会質問などでも度々取り上げながらフォローしてきました。

このプロサバンナ事業は、日本政府がブラジル政府と協力してモザンビーク政府を支援し、モザンビーク北部の広大に広がるプロサバンナ地域における大規模な農業・農村開発事業を実施するもの。世界の最貧国の一つで、多くの国民が貧困と飢えに苦しんでいる中、農業開発を進めて農業生産性を高め、国民を飢えから救うと同時に、数多くの小農の皆さんの安定的な生計手段の確保に資することを目的に行う事業なのです。

 

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しかし、そうであればこそ、事業計画の策定には農民やその代表である農民組織の代表者たちが参加・参画し、その事業が真にモザンビーク国民や農民の皆さんのためになるよう議論を積み上げていかなければなりません。途上国では、往々にして、この手の農業開発事業が農民からの土地収奪につながったり、単一の換金作物の生産・輸出が目的となって却って農民の貧困化を固定し、かつ国民の食生活の改善にも結びつかないという事態が起こりがちなのです。

モザンビークの皆さんは、「このプロジェクトには日本政府が関わっているから大丈夫だろう。モザンビーク政府だけじゃ絶対にダメだし、ブラジル政府も心配だが、日本がいるからきっといい事業になるに違いない」という期待をかけていただいているのですが・・・。残念ながら、これまでのところ、その期待に叶う進め方にはなっていません。

当事者である農民や農民組織の皆さんへの説明も、情報提供も、意志決定プロセスへの招待も、全くもって不十分なのです。正直、私たちが関与を初めてからの2年半、未だ、同じ問題が繰り返されています。なんで未だにこんな状態なのか、本当に残念でなりません。

今回の集会でも、お三方からモザンビークの現状と、プロジェクトの進捗状況について、貴重な報告をいただきました。いつのまにか、先祖代々、大切に守り育ててきた農地が資本家に奪われ、農民が追い出されていく実態。モザンビーク政府が主催するマスタープランゼロの公聴会に出て反対の発言をすると、そのあと政府に執拗に捜し出されて「投獄するぞ」と脅される・・・。また、農民に対して製粉機の受け取りが強要され、ローンを組んで返済することとセットで強要されて、その場にJICAの関係者も同席していると・・・。

この事業は、日本国民の貴重な税金を使って、モザンビークの国民、農民の皆さんの生活向上のために行う事業のはずです。それが、モザンビークの農民や国民のためになるのか懸念があるばかりか、小農の土地収奪にもつながりかねない状況であることが、報告で示されました。

すでに、モザンビーク・ブラジル・日本の3カ国の市民社会73団体が共同で、「プロサバンナ事業のマスタープランに関する公聴会の無効化を求める緊急共同声明」が出されています。その意味と、重さを、国会議員としてしっかりと受け止め、あらためて今後の対応を進めていきたいと思います。